Azumi Setoda しまなみ海道 生口島(尾道) Aman Japan関係者が手掛ける旅館 1/2
四国・中国地方でいい宿ないか探してた所、「アマン創業者エイドリアン・ゼッカさんが手掛ける日本旅館」という触れ込みの宿を見つけたので泊まって来ました。
※こちらはAzumiではなくYubuneの方です。Azumiの良い外見写真なかった。
結論から言うとゼッカーの名前を借りて、Aman Japanの関係者が企画した旅館という印象を受けました。yubuneはよかったし、部屋は綺麗だし、ホテルの皆さんも感じが良いですが、海外で初期に建てられたAman Resortの特別感はやはり日本では期待できないかな。。。? 良い宿であることは間違い無いので、近くに来た際は自然体でご利用してみてください。
では内容へ。
東京から福山まで3時間半。福山駅前で車を借りてレンタカーでしまなみ海道を渡りつつ1時間程度の道のりで広島県尾道市瀬戸田町に到着します(実際には途中尾道観光をはさみました)。車の乗り換え含めて5時間程度の道のりなので、東京からは遠い。
瀬戸田がある生口島はレモンで有名な島。しまなみ海道がサイクリストに博してからはサイクリストなどを呼び込み町おこしをしています。Azumi Setodaはしおまち商店街の端っこにあります。
観光客が少なくなっているのか、シャッターが目立ちます。ただ、終わった町というよりちょこちょこと観光頑張っていこうという感じが出ており、道中も観光スポットが結構あるので、残念な地方感はないですね。次回にでも書きますが、近くに他の宿や観光スポットも多く集中しており、瀬戸田はしまなみ海道近辺では最も勢いがある地区なきがします。
Azumi Setodaには正面向かいに同じくAzumiが運営する銭湯兼宿泊施設があります。yubuneはAzumiと比べるとかなりお安く泊まれます。近隣の宿泊者や地元の人も訪れられる浴場兼サイクリングリストや若者が気軽に泊まれる宿って感じでしょうか。
上の写真の左側の暖簾がある建物がyubune。右側がazumi Setodaの建物と入口です。Azumi Setodaは商店街の端にある江戸時代の豪商堀内家の古民家、それに隣接する土地を買い取って開発したため、宿前に車を止めるスペースなどは無いようです。近くの車止めに車を止めて荷物を持って行ってもらい、yubuneの裏手のほうにある駐車場に車を止めてきます。(すぐ近くに瀬戸田港があり、三原・尾道から船でも簡単に来れるそうです。徒歩の方は船で来るのがお勧めかな?)
なお、Azumi Setodaは全部屋にヒノキの内風呂があります(あるはずです)が、yubuneの銭湯も利用し放題です。
フロントをすぐ抜けるとメインダイニング。もともとは2階建てだったものを吹き抜けに改装。夜・朝ともにここで食べます。右上のほうに見える2Fに休憩スペースがあります。ラウンジ替わりでしょうか。。
フリースペースとしてつかえるガラス張りの小屋。自由に朝のヨガなどに使ってなどというものの、眺めが良いわけでもなくどう使えばいいのか分からない。。謎です。
Azumi Setodaの施設はこじんまりしていて、部屋外でくつろぐスペースはないに等しいです。旅館・ホテルに行ったらメインの広いラウンジでお茶飲みながら本読むのが好きな私にはちょっと残念。
お部屋。1Fの庭です。
入ってすぐ、ベット兼ソファ。ひ、ひろい。。。!
障子を隔てた先にお風呂+洗面台。すべて木で作られており、新しく清潔感があります。ヒノキのいい香りがします。
広い内風呂。水貯めるのめっちゃ時間かかる。
女優ライト付き洗面台。この裏にも同様の洗面台があります。
アメニティ撮り忘れた。。歯ブラシなどはありますが、化粧水とか無かったかな?充実させればいいのになんでだろう?
飲み物。アルコール類以外はタダだったかな。手を付けませんでした。
部屋着。ご飯もyubuneもこれでOK。Tシャツってところが粋ですね。使いやすい。
アクティビティリスト。びっくりするほど説明が無い。。。! Webページのpdfに書かれてる内容が書かれてるだけです。サンセットクルーズとか釣りでもやろうか迷ったんだけど、値段そこそこする割には詳細が分からないし、二日前までに予約しろとか書いてあったので頼む気にならなかった。(その辺の漁船に乗せられるのかもしらんし。。)もうちょっと情報出しておいてほしいです。。。!
これでyubuneに行きます。手ぬぐいは貰える(ペラペラなのがちょっと残念)。
yubuneはAzumiのカードキーを見せるとタダで入れます。
- 広さは普通の銭湯ぐらい
- 施設内側にガラスを隔ててガラス天井の内庭があり、光が入る。
- 浴室は綺麗なタイル張り。ちょっと贅沢。
- 季節風呂(かんきつの葉が入ってた?)、風呂、ジェット風呂、水風呂の構成。
- 内庭にドライサウナ小屋(ぎゅうぎゅう詰めで6人は入れるかな。小さめ。)
- 内庭のサウナ小屋前のベンチで休める。
- サウナ小屋前は換気が早く外気欲気分で超気持ち良い。。。!
といった感じ。外から来た人も入れるみたいで、近くを寄ったらyubuneに訪れたいと思えるぐらいに良いお風呂とサウナでした。
yubuneの2Fに休憩スペースがあります。Azumi/yubuneの宿泊者が使えます。
フリーソフトドリンク
ビール飲み放題。。。?飲まなかったけど。
駄菓子がある。こちらは有料。外国人とか喜びそう。。。(かもしれない)
夜ごはんや近隣についてはまた次回まとめます。
紀尾井町 三谷 (寿司 永田町) お酒と楽しみたかったお寿司
みなさん、高価格帯のレストランっていきますか? 1万も2万も食べ物に払うなんて。。! って思う方も多いかと思いますが、東京は世界一の美食都市です。楽しまなきゃもったいない!東京に住むなますはグルメな友人がなぜか大学のころから多く、若いころから食べログや様々なブログを見ておいしそうなお店を見つけるのに余念がありません。
食べログなどのインターネットサイトで今は気軽に良いお店が見つけられるようになったせいか、逆に良いお店はいつも予約が途絶えなくなりました。いいものを提供すればすぐに宣伝され人が集まるとなって、人気店は値上げに値上げが続き、1食5万~10万のお店が今は東京に無数にあります。そこまで高いお店に行けとは言いませんが、日々コスパの高いお店が進出し続ける東京。ぜひいろいろなお店にチャレンジしてみることをお勧めします!
ただ、食べログの評価は運営が利益重視にかじを切り始めてしまってから(まぁタダで運営なんてできないんで仕方ないんですが。。)10年前と比べて信用のならない部分が増えてしまいました。ヒット率は下がりましたがまだまだ活用できます。コメントの評価とコメントの内容を見ながら良質なお店を探して言っており、最近はお寿司屋さんにもチャレンジしてっております。
そんなわけで、今回は紀尾井町 三谷にお寿司食べに行ってきました。
訳合ってお酒は無し。。。なんですが、ここのお店はもともとワインとのマリアージュなど、お酒とお寿司のミックスが売りのお店のようで。。。あまりポテンシャルを生かせなかった食事となってしまったような気がします。お酒無しではあまり楽しみ切れないかなというのと、マリアージュが本骨頂のお店に感じました。寿司屋というより寿司を楽しむ飲み屋でしょうか。お酒飲めるようになったらまた伺おうかな。
さてさて、内容です。
紀尾井町プリンスが入っているビルの3F、外から入る形の店舗です(外観撮るの忘れt)。中に入るとカウンターが12席程度奥に個室があるらしいが、今日は使ってなさそう?
店長とそのお弟子さんっぽい人がカウンターで握り、料理の仕上げ、接客を行うスタイル。ほとんどの調理は奥で行っていて、切られたネタや調理された素材が運ばれ仕上げを目の前で行ってくれます。
お値段は昼も夜も同じ3万1千円のコース。
一皿目 蛤のだし汁にうに。優しい味
2皿目 えび(しまえびだったかなぁ)とかに。日本酒がないと物足りないお味。
隣の席のグループのイカを握りながらめっちゃしゃべるご主人。た、大変そうだ。。都心のお寿司屋さんはもう握り食いに来るってレベルじゃねーぞ! って感じがします。エンターテイメントですね。。。
そして隣の席の金持ちさ加減が尋常じゃなさそうでビビります。
3皿目 カツオの炙り。皮がカリカリしてる。
4皿目 からすみの炙りと太刀魚の揚げ物。日本酒無しでこれを食えと。。_(┐「ε:)_
5皿目 うに、のどくろ焼きなどの和風リゾット。このタイミングでごはん?
6皿目 あん肝アイスと米を揚げたもの。フォアグラとパンの和食版。貴腐ワインと合わせるんでしょうねー
7皿目
平貝(だったかな?)、お出し、のり。海の味
握りへ。
鯛かな。
アオリ(だよね?)イカ
漬け
大トロ炙り。大トロですが歯ごたえがある肉質。。。! 頬に近い肉を使ってるそうです。これはおいしい。
立派なあじ
目の前で剥いて握ってくれる車海老。美味しい。
煮はまぐり。大きいなぁ
あゆだそうです。少し苦みを残している。お酒に合わせるメニューですね。。
この後卵焼き、巻物(ネギトロ)、助六(かんぴょう巻き、かんぴょう巻きを稲荷で包んだもの)、デザート(梅のはちみつ漬け)が続きました。つまみの量が多くリゾットもあり、最後に助六でとどめを刺されかなりボリュームがあります。
ただ、全体を通してお酒を意識した味付けになっていることが否めません。。お酒無しでこれは。。と思う品もありました。ワインの話を伺うとかなり色々な合わせ方を教えてくださいます。ぜひお酒が飲めるときに行きたいですね。
お任せコース、二人で税込み6.2万円。
☆3.7ってところですかね。お酒ありならもっと良かったかもですが。。
かっこいいスーツ選びに大切な4つのポイント
ようです。 高級なスーツを買ったのにださい時ありませんか。
雑誌に出てくるビジネスマンと一体自分はどこで間違ったのか。。自問自答します。
今回は私と同じくスーツスタイルに悩める方々に向けて、
スーツの選び方、オーダーの仕方、着こなし方を考え、かっこいいスーツとそうでないスーツの違いの特徴を考えていきました。
目次
はじめに:初心者向け図書
あまり深く考えられたことがない方は、森岡弘さんの本を読むことをお勧めいたします。お洒落もいいけど先ずは王道のスーツスタイルを説く方です。どこへ行っても恥ずかしく無いスーツスタイルを軸にして格好良さをつけていけばどんな時も対応できます。
なぜ森岡さんの本を読めというのかというと、堅い職業でも通ずるスタイルを基本としているためです。堅い職業というと例えば、政治家、その次が難関公務員や士業(弁護士会計士等)医者、金融機関、東証一部上場企業の営業職や幹部職などでしょうか。
もちろん規則の緩いところも場合によってはありますが、そういった社会的にお堅い職業でも通ずるスタイルをまず覚えて、自分の職場や私生活のレベルの人達と会うカジュアルさに合わせていくことでいつでもTPOに沿ったスーツスタイルを出せるようになると思います。(具体的なイメージが欲しいというのであれば、イギリスの王子、アメリカの大統領や男性官僚の画像を探すのがおすすめです。)
ポイント1)全てはシルエット
スーツを含めた洋服において最も大切な表現はシルエットです。綺麗なシルエットを出すために日々アイロンをおこない、シェイプを保つためにコシのある生地に立体的な裁縫を施します。
スーツのシルエットも色々ありますが、体に合っていないと本来のシルエットが出ません。つまり、サイジングしないとまともなシルエットが出ないのです。
サイジングがダサいスーツの一番の理由
おじさんスーツがダサい一番の理由はサイズがあってないからです。なぜか知りませんが、デパートの売店さんとかは楽だからという理由で、ダボダボのパンツとオーバーシルエットのジャケットを推して来る方が多いです。私も若いころ高〇屋の2着セールスーツ頼んだらひどいシルエットになりました。意味不明です。
若者向けの吊るしのスーツ(すでに出来上がっている量販店で売られているスーツ)の場合スリム目のスタイルが多いです。しかし、サイズの調整があまり効かないので、肩、胸、手足などどこかが合わないことが多いです。若い頃、ユナイテッド・アローズのスーツを買ってましたが丈を合わすと前ボタンがギリギリ閉まるような感じでした。
サイズが合わないとスーツの形が崩れ、だらしなさが出ます。例えば胴回りが大きいスーツの場合、次の画像のようにスーツのラインがすとんと落ちるような形になります。
この画像の場合、肩幅も大きいので画像左側の肩が余ってしまい下に下がるような状態になってしまっています。
ジャストサイズのスーツの場合、本来の洋服のシルエットが表れてます。
腰の部分に少しへこみが出てるのがわかります。 スーツが立体的なフォルムを出しているのが分かります。
雑誌に載っているスーツは基本的にほぼ全てぴったりに着こなしているスーツです。スーツを買うときは吊るしでも必ず採寸して手直ししてください。 採寸しないなら高級スーツも2~3万円のスーツも似たようなものです。
スタイル選び
王道はブリティッシュ・スタイルのスーツですが、スーツもファッション。スタイルに流行り廃りがあります。簡単にまとめると下のような感じです。
- 現代の流行はイタリアン・スタイル(ミラノなどのイタリア北部)やモダン・ブリティッシュスタイルです。
- フォーマル感を強めたい場合はブリティッシュ・スタイル
- 個性感を出したい場合は南イタリア(ナポリ)・スタイル・アメリカンスタイル
- おっさんぽさを出したい場合はインターナショナル、コンチネンタルスタイル
基本的には古典的なブリティッシュ・スタイルは着丈の長いスタイルが多く、 一方でイタリアン・スタイルには着丈の短いスタイリッシュなスタイルが多いです。これは良い悪いというより、イギリスのスーツがそもそも着丈の長い燕尾服などをベースにして発展したために格式を重んじるのに対して、イタリアの服はより着やすさを重視して進化してきたことがあります。
パットが薄め、生地は薄め~中厚で作るイタリアンスタイルが多く若々しいのですが、ブリティッシュスタイルで作っても背の高い方などは明るい生地を使えば若々しくかつ格好良く仕上がります。大切なのはバランスです。
イギリスとイタリアのスタイルについては詳しくはこちらをご覧ください。
着丈は後姿のスタイルを決める
スーツの後姿のスタイルについてです。スーツのスタイルを決めれば自然と決まるのですが、主な選択肢は三つ。
- サイドベントにしてお尻を完全に隠す(お尻の下のラインを出さない)スタイル
- センターベントにしてお尻の下のラインがギリギリ見えるスタイル
- センターベントにしてお尻の1/3以上出すスタイル
基本的に、長い着丈は信頼感や誠実感を、短い着丈は若々しさやスマートさを出すことができます。また、サイドベントはフォーマル感を出します。ちなみにちゃんとしたフォーマル服はノーベントです。お尻を完全に隠す場合はサイドベント仕上げにして、ブリティッシュ・スタイルのスーツを仕立てるならエレガントで信頼性の高いビジネスマンを演出できますが、サイドベントにしてお尻のラインが見えると途端にダサくなります。
また、着丈が長くて安いスーツのスタイルは古臭く、堅苦しくなる場合が多いです。もしスタイリッシュなスーツを着たいのでしたらセンターベントにしてお尻のラインがぎりぎり見えるか1/3程度出す長さにしましょう。
サイドベントでお尻まで隠すと足の長さが分かりづらいため足が長く見える効果があります。一方でお尻を出すとサイドベントはお尻の形が浮きがりやすいため推奨しません。
スーツ姿の後ろ姿を自分で見ることはあまりないと思いますが、薄い生地のパンツをハイウェスト気味に履いた場合(足が長く見えます)お尻の形がくっきり生地に現れることがあります。とてもださいです。カジュアルジャケットはともかく、スーツでお尻半分以上見えるジャケットの着丈は避けましょう。
ただ、お尻の半分が近くスーツは非常にだらしなく見えることがあります。。。特に細身のスーツでお尻のシェイプが浮き出ているようなスーツでお尻が半分以上見えるスーツを切ると”つんつるてん”の印象になることもあります。
お尻が完全に隠れて因みに完全なフォーマルスーツの場合はノーベントです。
以下はサイドベントの例です。エレガントですね。セールスマンの方などはこちらのスタイルがお勧めです。くれぐれもお尻を見せないようにしましょう。
お尻が1/3出てる場合。だいぶアクティブな印象になります。
こちらもご参考ください:
スーツに興味を持ち始めた人限定!着丈で押さえるべき4つのポイント
肩幅はサイジングの影響が一番出やすい
吊るしのスーツの一番問題となりやすいのは、肩幅が合わないことです。ウェストよりもどうしようもないです。
肩幅大きすぎると肩が落ちてだらしない印象が出てきて、肩幅が短いと背中周りにシワができまし、腕が動かないのでスーツを着たくなくなります。
袖丈はシャツと揃えて
袖丈のサイジングはシンプルです。手を自然に下した時に、手首の内側に少し骨が出っ張っているところまで図ればOKですが、どちらかというと、袖丈のサイジングはシャツとの組み合わせが大事です。
基本的なルールとして少しシャツが見えるぐらいの大きさが一般的なスタイルです。
シルエットの維持をする
生地が安く、芯地も接着芯を使っているスーツというのは来ていると生地がへたってきてジャケットの形が崩れていきます。。。前開きの部分が横に垂れて行き、背中の部分にしわが寄っていきます。もともと薄いスーツというのであれば良いのですが、下手に芯が接着されている場合はより形が崩れていきます。かっこいいスーツを着るためにもシルエットの維持が臨めるレベルの生地、仕立てが不可欠です。
細身のシルエットを出す場合、薄めの生地を選ぶのですが、特に薄い生地はへたりやすいのでより仕立ての難度が上がります。つまり、薄すぎる生地で適当な仕立てをすると一瞬でスーツがダメになるということです。。
シルエットを綺麗に長持ちさせるrには以下の生地を参考にしてください。
ポイント2)生地7割、縫製3割
スーツで一番お金をかけるべきは生地です。そして、生地にお金をかけないと、なかなかスーツはカッコ良くならないです。 生地の発色(深みのある色、きれいな色)が良く、スーツ自体に高級感が出る。生地の質が良いのでシルエットの維持が出来、シワも残りづらい。良いことづくめ!(ただ、金がかかる。)
生地7割縫製3割はの意味を逆に言えば生地の値段に応じて相応の仕立てが必要になるということです。20万、30万の生地になると原毛が細くなり生地がとても繊細になります。この場合は確かな仕立て技術がないと良いスーツは出来上がりません。。。
生地について
生地選びどうしたらいいのか? 正直、手にとってみても違いが感じづらいです。スーツを着てみると差がわかります。
オススメはミディアムウェイト100%ウールの生地です。
- 細身のシルエットを作れる
- 仕立て栄えする(薄すぎるとペラペラしてしまいます)
- シワが寄りづらい
いいですか、ウールの100%生地をまずは選ぶんです。
暑い生地は仕立て栄えして、シワができづらいですが、特に足周りは厚みが出ます。結果太めのシルエットになるのでおっさんぽくなります。大柄の人以外は避けた方が無難でしょう。
色・柄について
公的なビジネスではスーツの色はネイビーかグレーら世界常識です。コツはこの一番ベーシックな「柄無しの濃いネイビー(濃紺)」「柄無しの濃いグレースーツ」を基本として、少しカジュアルな要素を入れる(外しをいれる)ことです。グレーかネイビーを着れば信頼感が漂いますが、色が暗いとおっさん臭くなりやすいです。お勧めは
- 明るめで発色の良いネイビー・グレー
- ピンストライプの入ったネイビー・グレー
- チェック/格子柄の入ったネイビー・グレー
です。ここからさらに外れると段々とパーティー服や私服っぽくなってきます。
※黒いスーツについて
日本人は真っ黒いスーツを着る時がありますが、ブラックスーツは公的なパーティー(晩餐会とか)や表彰式出来るもので、日本でも基本的には冠婚葬祭時にのみ着用するための色です。リクルートスーツもほぼ真黒ですが、よく見ると濃紺のスーツであって黒スーツではありません。ビジネスの場で黒いスーツを着ることは避けましょう。
- 明るめで発色の良いネイビー・グレーについて
色もあまりに明るすぎる(水色っぽいネイビー)を着ると私服やパーティー服っぽくなりますので要注意してください。できれば太陽光と蛍光灯両方での見え方をしっかり確認するといいと思います。
発色についてですが、染色は企業側が生地のレベルで大きく差をつけるポイントの一つですとなっています。低価格帯の染色は絵の具を流したような色に対して、ある程度高価格帯になると色見に深み出てきて光の具合によって生地の色感が変わるようになってきます。雑誌に出るようなきれいなネイビー、少し薄手の綺麗なグレーの色が出ている生地はやはり高価格帯の生地にならないと出てきません。
- ピンストライプの入ったネイビー・グレーについて
ストライプは主に4種類あります。ネイビーのピンストライプ、それか明るめのネイビーにシャドーストライプがお勧めです。グレーなら極細のストライプがお勧めです。(グレーのストライプはおじさんぽくなる場合が多いので)
小幅なストライプは爽やかさを、幅が広いストライプは大人っぽい落ち着いた雰囲気を、コントラストが強いストライプはエネルギッシュさを出します。
【ピンストライプ】
細い点(ピン)が並べられて作られた点線のストライプ。ネイビーは少しドレッシーにグレーは少しカジュアルになります
【ペンシルストライプ】
ピンストライプより少し太めで、はっきりしたラインが出るタイプのストライプ。線が太かったり、コントラストが強い場合はあくが強く、自己主張が強い人に見えてきます。渋めの色で細目のストライプをチョイスするとクールに見えます。
チョークストライプ
少し太めのチョークで書いたように掠れた線のストライプです。秋冬もののに多い。ペンシルストライプ同様に、体格の良い人でないと主張がつよくなります。やはりこれも細目のチョークストライプを長いすること、コントラストが付きすぎないように薄目のグレーやネイビーを選ぶとスタイリッシュに見えます。
シャドーストライプ
糸の織る方向を変えて作るストライプ。ビジネスに使いやすく、ドレッシーなタイプですが、少しおっさんぽくなりやすいです。少し明るめのネイビーなどを選ぶのがお勧めです。
- チェック/格子柄の入ったネイビー・グレーについて
格子柄はカジュアル感が強く出ますが、非常におしゃれ感を出しやすいアイテムですが、とてもビジネスから一気に遠ざかることが多いので、職業柄をよく考えながらチョイスが必要です。
線の数が多いほど、コントラストが強いほどカジュアルな雰囲気になります。
明るいネイビー、グレーは避けて
を目安にちょいすると、ビジネス用途としてまとまりやすいです。
ポイント3)スタイルを基軸にした仕立ての選択
仕立てというのは、スーツを頼む場合に選択するスーツのオプションやディティールの事です。三つボタンにするのか、二つボタンにするのか。パッドは入れるのか等々のことです。
フルオーダーメイドとなると各々の部分自分の好きなように調整できます。ラペルを太くする、ダブル(ボタンを横に二つ付ける)にするなどなど。
しかしはっきり言いますが、何も考えずに出来心でディティールを選んでいくとカジュアル感満載で痛い感じの仕上がりになっていきます。ちょっと外しておしゃれするのは構いませんが、基本的にスタイル毎に選択するディティールは決まっていて、そっからほとんど弄らないのが鉄則です。弄りすぎるとスーツというより私服に見えてしまい、どうしても浮いて行ってしまうのです。
逆にカジュアル寄りの職場では、逆に組み合わせを楽しんだりしていきます。今回はどこでも通ずる綺麗目スタイルが目標です。カジュアル目スタイルは
基準となるスタイル(イタリアン・ブリティッシュ)
基本的なスーツのスタイルは2つです。
➀イタリアン
②ブリティッシュ(イギリス)
イタリアンの中でもナポリ(イタリア南部)・ミラノ(イタリア北部)と細かく分ければさまざまあり、アメリカンスタイルなどもありますが、大きく分けてこの二つあることを覚えればOKです。こちらも見てください。
ブリティッシュスタイルの特徴
ブリティッシュスタイルの一番の特徴は厚いパッドを使った威厳のあるラインです。しっかりとした生地や毛芯をベースにアイロンワークで威厳あるかっちりしたシェイプを作っていくのが基本的なスタイルになります。
イタリアスタイルの特徴
イタリアンスタイルは柔らかい生地を用いたスマートなラインです。ドレープの効いた滑らかな生地を使った仕立てのシェイプが特徴的で、より柔らかでエレガントな形のスタイルになります。基本的に、かっこいいスーツを着たい場合はイタリアンスタイルを着ればOKです。
生地
- ブリティッシュスタイル
仕立て映えのある生地が基本になります。アイロンの熱成型によって鎧のようなかっちりしたスーツを作るのです。自然と厚手の生地、つまり重い生地、目付の高い生地を選ぶことになります。200g後半~300g台などは仕立て映えがします。
- イタリアスタイル
意外に何でもいいんですが、厚すぎる生地避けておけばたいてい無難にまとまると思います。あえて言えば、柔らかい着心地が良い生地でも合わせやすいのが特徴でしょうか。
その他仕立て
どちらのお店でもたいていは典型的なイタリアンスタイル、ブリティッシュスタイルを提案してくれますので、その通りにしましょう。いくつか抑えておいた良い点は、
- パットは薄目・無しが流行り
ブリティッシュスタイルはパットを入れるのが基本ですが、人によってはかなりいかつくなります。今は薄目のパッドが流行りです。入れるとしても薄目のパッド、又は無しでもよいと思います。パットのご利用は慎重に。
- ラペルはノッチラベルでOK
ラペルってのはスーツの襟の折りたたんで出来る部分です。ラペルにはピークドラペルといって、折り畳み部分を尖らせる仕様があります。難易度が高いです、うまくまとめられてそうなデザインでなさそうなら避けましょう。落ち着いたデザインのセミ・ピークドラペルとかなら、カッコつけように一着作ってもよいかもですが、かなりカジュアルさがでます。
ノッチドラペル(一般的)
ピークドラペル(ちょっとカッコつけられる)
- トラウザー(ズボン・パンツ)のタック
タック(折り目)は大抵ダサくなります。足の付け根あたりが広がるんですよね。。そうならない時もありますが、スマートな形で入れてくれる見本を見てこれなら大丈夫だと確信しない場合は避けましょう。あと、若いと細ければ良いと思う方が多いですが、そんな細くなくてもカッコよくなるので安心してください。細すぎてもっこりしているスーツは逆にダサいです。
ポイント4)シャツネクタイ靴ベルト肉体
最後に、スーツに合わせる周辺アイテムについてです。高いスーツかったのに仕上がりがどうも。。という方は大抵靴とシャツが問題、若しくは姿勢が悪すぎることが多いです。
-
シャツ
オーダーシャツを作りましょう! 理由は最近はセミオーダーのオーダーシャツと市販シャツのクオリティが値段がほとんど変わらないからです。シャツのポイントは”ハリ”と襟の綺麗さです。かっこいいスーツ姿にはパリッとした綺麗な襟の維持が欠かせません。安いシャツは胸元~襟りが直ぐにダラっとしてきてダサいですね。おすすめなこんな感じです。
- 7000円~2万ぐらいの値段帯
- 綿100% (ポリが多いとシャツの皺が取れません)
- しっかりした生地(100より下の番手の糸、又は双糸。シャツ・襟に張りが出る)
- クリーニングに出す(安すぎるところはすぐダメになるから注意)
裏にダーツ(ひし形の縫込み)を入れると同部分がほっそりするのでカッコよくなります。(太るとすぐ使えなくなりますが。。)
-
ネクタイ
5000円~1.5万円ぐらいの値段帯で大丈夫です。デザイナーズモノや、ブランド物のネクタイ(エルメスとか)は逆に難易度高いので避けましょう。
ネクタイは5mm単位で印象が変わります。ちょうど剣先がベルトの真上に来るようにネクタイを結ぶ練習をすることをお勧めします。それよりは、ネクタイは使い捨てアイテムと心得て定期的に購入・入れ替えしていく精神が大事です。
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靴
素直にプレーントゥ、プレーントゥの定番靴を選びましょう。3-4万ぐらいの物が長持ちしてお勧めです。。モンクストラップ、先がとがりすぎてる靴は難易度が高いです。色は黒か茶です。青色の生地の場合、茶系の靴を合わせるとおしゃれになりますよ。ただ、ベルト、かばんも茶系に合わせないとダサくなります、その分別系統色のアイテムをそろえる必要があるので金がかかります。靴の選び方はこちら:
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ベルト
靴と同じ色のベルトをつけること。バックルはノンブランドがおすすめです。ドルガバのバックルなどは難易度が高いですね。。。茶系の靴を買うときは微妙な色違いがあります。靴屋では靴と同じ染色したベルト売ってるのでそれを買うのがおすすめですね。
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肉体
欧米人の衣服は基本的にその人の姿勢や筋肉を生かして作られます。スーツはその典型で、肉体に沿って縫製するので、その人自身の肉体がだらしないと良いシェイプというのは出すのが難しいのです。(逆に和服なんかは恰幅が良くないと似合いずらいんですが。)スーツをカッコよく着こなすには金を出すだけでは難しいです。私の周りのスーツ姿がかっこいい欧米人はほぼ100%ジムに行きます。彼らでも見た目の良さを出すためには筋肉が大事なのです。格好よくスーツを着たいなら是非筋肉をつけて姿勢を正しくしましょう。
筋トレは欧米人のビジネスマンの必須科目かってぐらいあいつら筋トレ大好きです。
最後に:手入れと清潔感
最後に、値段を出してスーツ、靴、シャツといろいろ買えと言いましたが、勝った直後はきらきらと光っていたスタイルが年月を重ねるとともに色褪せていくものです。
しかし、ウール製の生地、綿製のシャツ、革製の靴といったものはしっかりと手入れをすることで長く綺麗に利用することができます。必ず手入れを行い、清潔感を保ち続けることがカッコよくスーツを着続けるコツですので、ぜひ手入れを怠らないようがんばってください。。! 昔書いたスーツのお手入れのコツです:
Travigne(トラヴィーニュ) 新潟 欧米の高級ホテルを彷彿させるオーベルジュ
新潟にCave D'occi(カーブドッチ)というワイナリーがあり、宿泊してきました。とても素晴らしかったので紹介させてください。
私は旅行好きで様々な国に個人旅行で訪れることがあります。
国内では今まで個人旅行向けの良ホテルは少なかったのですが、旅行の少人数化やインバウンドの波に乗って近年数々の素晴らしいホテルが増えてきたように思います。
Travigineは一休.comでホテルを探してた時に見つけました。とても素敵な雰囲気のワイナリーで点数も★4.78と非常に高いです。しかもよく見たら赤坂迎賓館でカフェを経営しているカーブドッチの系列。(やたらクオリティが高い軽食を出している割には空いてるカフェ。最近近隣のご家族に知られたせいで人が増えてきましたが。。。 )
Travigneへは、東京→新潟まで新幹線で2時間、新潟駅南口からホテルの無料シャトルで50分。上越新幹線がかなり快適なので、苦も無く着きます。日本海側ですが、正直伊豆と移動時間も料金もあまり変わらない(苦笑) あ、スキーシーズンでもなければ自由席で十分だと思います。
到着。あいにくの雨。
部屋に入ってみるとそれは素敵な空間が。
高い天井。アンティークの家具、(社長がフランスの家具蚤の市で買い集めてきたそうです。私も行ってみたい。)外にはブドウ畑と後ろに広がる角田山。素晴らしい風景です。まだ葉をつけてないですが、夏はさぞ綺麗な風景でしょうね。。。海外のワイナリーでにいるような心地です。
ホテルの周辺にはイタリアンレストラン、カフェ、温浴施設があります。
お昼をこちらでいただこうかなと思ってたのですが、あいにくレストランはラストオーダーが終了。カフェでソーセージをつまんでました。
(レストランは2時半LO。1時半発のシャトル便を利用してそのままチェックアウトをしてしまうとラストオーダーを過ぎてしまうので、お昼をこちらで食べたい方は注意!)
温浴施設があるヴィネスパもカーブドッチ経営です。Travigneの宿泊客は無料で泊まれる。そう、ワイナリーステイと言いつつ温泉もスパもあるんですここ! しかもサウナ付き。おっさんにはたまりませんね。
ヴィネスパ。天井が高く、光を施設全体で取り込める形になっています。皆、内庭沿いの椅子でくつろいでおります。(こちらも宿泊できます。料金はグッと安くなります)
さて、夜ご飯です。
ご飯はロビー・ラウンジのベランダから出てレストラントラヴィーニュに移動です。なぜか施設が室内で繋がっておらず。サプライズ感を出して外歩かせてますが、冬吹雪いてたらどうやって案内するんだろう?
一皿目はレストラン下にあるワイナリーで。ワイナリーに関する説明を聞きながら、シャンパンとおつまみ。海外のワイナリーを訪れると、よくワイナリー内でおつまみと一緒にワインの試飲を行えるツアーが申し込めますが、それを意識した感じでしょうか。
2皿目以降はレストランにて。
温かいスープから
イカ(フレンチ?)白ワインによくあいます。。!
サバとトマトのフリット(フレンチ。。?)。トマトのフリットって美味しいんですね。
アワビ。チャツネを少しづつ混ぜろと言われたのに一気に混ぜたらかなり苦くなってもうた。。。orz
カブの塩漬け? これはすごい。。フルーツのように甘いです。どこのカブだろう。。? 旅亭などでにしか卸してない類の野菜の気配。
ヒラメ。そういえばフレンチ食べに来たんだった(笑) 日本海側の魚の良さを感じさせる一品。美味しいです。
鹿肉。まるでタルタル用のお肉のように柔らかい。普通のお肉を食べてるのと違う感じですが、食べやすくておいしいです。低温調理かな、と思いますが、低温調理でもここまで柔らかい鹿肉は食べたことないです。赤ワインとの相性が抜群。
越後姫という品種。あまり県外には出ないそうです。香りが良く程よい酸味がおいしい。下は山羊の乳で作ったクレームタンジュ。
アイス。カカオニブが中に入っており、甘みと苦みがちょうどよ。。。いと思いきや、時々カカオニブが苦すぎた。ニブのサイズを小さくするか量を減らすとよい気がした。
朝ごはーん
焼き立てパンがおいしいです。サラダも気合入っています。量が程よいのがうれしいです。
【感想】
私はあまり飲めないのですが、ワインとの相性を一番に考えて料理を出しているように感じます。マリアージュを楽しむレストランだと思いますので、ぜひワインと一緒に楽しむことを勧めます。また、日本人向けの量・味になっておりとても食べやすい構成と、魚のクオリティが高いのでそれを生かすメニューが特徴のレストランだった気がします。
滞在中はほぼホテル内部におりました。調度品もよく、景色もよく、天井も高いので過ごしていてとても気持ちいいです。 正直特に観光したいところはなかったです(笑)が、のんびり美味しいものを食べながら温泉に浸ったりしてゆっくりするには最高のホテルでした。オーベルージュ行きたいけど、温泉も。。。スパも欲しいし、ゆっくりくつろぎたい! という人には最適ではないでしょうか。東京駅から新潟まで一本でいけるので、疲れずに到着もできます。
コロナ禍では中々海外へ旅行するのが難しいと思います。しかし、少人数での国内旅行であればコロナリスクも低く、また国内にも素晴らしいホテルが今はたくさんあります。ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
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【公式】ワイナリーステイ|トラヴィーニュ – travigne
スーツスタイルの違いと歴史(イギリス・イタリア)
お世話になっています、ようです。
ストレッチの入ったウェイトの軽めの生地がすごく快適だと気づいたこの頃です。
さて、スーツのスタイルの話です。人気の高いスーツスタイルの二つ、イギリス・スタイルのスーツと、イタリア・スタイルのスーツについて触れていきます。
目次
ブリティッシュ・スタイルとイタリア・スタイルの画像を並べられても全っ然っ違いが分からない方も多いと思いますし、お店のスーツを見ても違いが分かりづらいと思います。検索すると一応それぞれの画像が出て来ますが、どれがブリティッシュスタイルか当てるのは非常に困難です。ただ、日本のイージーオーダー店で売っているのはあくまでもイギリス/イタリアスタイルのディティールを少し真似た程度で差が出ずらいです。また、今の流行はブリティッシュスタイル寄りのイタリアンスタイルのため、双方の特徴を持つスーツが実は多いです。
それでも、実際に二つのモデルを着てみたり映像で見ると印象がかなり違います。なぜかというとスーツというのは立体的なつくりをしており、洋服を特徴づける最大の要素の一つがそのシェイプであるため、実際に人が着ると陰影ができてよくその違いが判るからです。
スーツの違いについてより根本的な話として理解するためにはそもそもスーツって何なんだっけ? という歴史的背景から語る必要があります。歴史と共にそれぞれのスーツの個性について触れていきます。
イギリスのスーツの成り立ちと歴史
スーツ発祥の地サヴィル・ロウはエリート軍人・政治家の住宅地
スーツの発祥はイギリスはロンドンのサヴィル・ロウという通りに軒を連ねた紳士服のテーラー達にあると言われています。サヴィル・ロウは1700年代に開発が進んだロンドンのバーリントン・エステートの一画にあり、その名前はドロシー・サヴィル伯爵夫人にちなん付けられました。当時そこは閣僚級の政治家やエリート軍人の住宅地で、英国の目ざとい商人達が集まり彼らが欲しいものがすぐに手に入るよう豪邸の近くに様々なお店が軒を連ねておりました。1800年代中半ばになってくると紳士階級の間で高級な服飾品に対する興味が高まり、上流階級向けの服飾店がサヴィル・ロウに集まりました。
チャールズ2世が衣服改革宣言がスーツのドレス・コードを決めた
今でこそはイギリスの衣装には統一的なルール(マナー)がありますが、1600年代のイギリスの社交界では個性にあふれた様々な服が見られました。しかし、倹約などを求めた時の国王チャールズ2世により1666年に発せられた衣服改革宣言によって衣装はベスト、ズボン、シャツ、タイ、上着(寒いイギリスではジャケットというよりコートの形をしている物が多い)の組み合わせに統一されます。
エドワード7世が燕尾服をべースにスモーキング・ジャケットを考案
その後、歴史的な変遷をへて1800年初頭から黒のテイルコート(燕尾服)が夜会服の礼服として定着し、男性の衣装はシンプルになっていきました。
燕尾服(出典en.wikipedia.org)
しかし、1800年代中盤にそのスタイルが転換されていきます。サヴィルロウの37番地にアトリエを持ち、その後ブリティッシュ・スタイルスーツの父と呼ばれるHenry Pooleがいました。彼の店に1860年頃とある人がやって来ました。英国のウェールズ皇太子エドワード7世です。彼はテールコート(燕尾服)と同じ布からテールレスのスモーキング・ジャケットをオーダーしました。
スモーキング・ジャケットとは
この当時夕食時は燕尾服を着ることがマナーであり、夕食時の様子はとても上品ですが堅苦しい場であったそうです。そのため、夕食後になると男性はラウンジ(喫煙室、スモーキング・ルームとも呼びます)にて煙草を燻らせながら男性同士で好きな会話やどの強うお酒を楽しむことが習慣でした。しかし、ラウンジで寛ぐにはこの着丈の長い燕尾服はあまりに不便です。そこでヘンリープールの話に戻りますが、時の皇太子でありファッションリーダーでもあったエドワード7世は燕尾服のテール部分をカットしたスモーキング・ジャケットを考案したのです。このスモーキングジャケットがやがて夕食時にも併用されるようになり、ディナージャケット(タキシード)へ変わっていきます。これがスーツの原型となっていきます。
※タキシードはディナージャケットのアメリカ名です。ディナージャケットがまだアメリカで広まってない時期にニューヨーク州のタキシード・パークの社交界に持ち込まれて有名になったことから、その名前がつきました。
もう一つのスーツの原型”ラウンジジャケット”
ディナージャケットとは別に、同時帯に着丈の短い服がありました。狩りや釣りの時に着用されていたハンティングジャケットです。代表的なハンティング・ジャケットにディーサイドコートとかツイードサイドコートがあります。(ディー川はスコットランド屈指の大河で、ツィード川はイングランドとスコットランドの国境の川です。)
ハンティングジャケット
これらのハンティングジャケットは社交服ではなく、より機能的な服です。締め付けは緩く、前合わせを開くといわゆるラペルのような形になるような工夫が施されております。ただ、現在のスーツとは異なりラペルは非常に短いものです。
諸説ありますが、ディナージャケットとこのディー/ツイードサイドジャケットの二つが起源となり、ラウンジでより寛ぎやすいラウンジ・ジャケットが形作られて行き、徐々に広まって行きます。つまりはラペルがあり、テイルレス(着丈が短く)、くつろげるゆったりさを持った服です。特にエドワード7世がこのラウンジ(喫煙室)で着るテールの短いジャケットを様々な場で着るようになると、テールコートに比べると取り回しが良いためか、上流階級の人たちに広まっていき、さらにはラウンジの時以外にも人前で着られ服装として受け入れられるようになりました。
ブリティッシュ・スタイルスーツの出現
当時の服装はジャケット、ズボン、ベストはそれぞれ別の布地から作られることが一般的でした。しかし、1860年頃になるとラウンジジャケットが今のスーツの原型となる同じ布から上下作成するラウンジスーツへとスタイルと変化していきます。
ラウンジスーツ(出典en.wikipedia.org)
その後、ロンドンのサヴィル・ロウに集まるテイラーがイギリスのスーツ・スタイルを主導しながらラウンジスーツが徐々に形を変えて、1910年頃にほぼ現在と同様の形になります。そして、サヴィル・ロウのテイラーはもともとは大物の政治家やエリート軍人に貴族や王族を顧客にしていたためか、ラウンジスーツはディナージャケットのようにラペルが長くなり、肩が強調され、ウェストの絞りをタイトにすることにより、お洒落さというより、エレガントで力強い男性のシルエットを見せることに重きを置いたスタイルが主流になり、イギリス・スタイルのスーツが醸成されていきます。
イギリスのスーツの特徴
イギリスのスーツの歴史背景から分かるように、上流階級の衣装として発展しております。また、燕尾服などと比べると着心地はいいのですが、威厳を形作るために体型のシェイプを整形するので、スーツが窮屈になりやすい特徴があり、快適性やファッション性より伝統や格式を重視する傾向がやはりあります。
- アイロンワークでキュっとウェストを絞りパッドを肩へ傾斜するライン
- パッドを入れた構造的な肩
- きつくても威厳とエレガンスさを重要視。
- 寒い地方のため生地は厚くなりやすい
- 燕尾服がベースとなっているため裾は長め
- コージライン低め
- 斜めになったハッキングポケット
- 重厚感のあるダブルブレスト/シングルブレスト
- 基本的にジャケットは脱がず、ベストを着るためパンツの位置は高め
ウェストをシェイプさせるよう作りこんだ構造的な形や肩パッドの所など特にわかりやすいブリティッシュ・スーツの特徴では無いでしょうか。特にイギリスのスーツの特徴を分かりやすく表現すると、下の絵のような感じになります。ボリュームのある胸、キュッとしまったウェスト、角ばった肩という感じでしょうか 笑
イタリアのスーツの成り立ちと歴史
スーツ大国イタリア
イタリアン・スーツと言っても実はミラノ、ローマ、ナポリなど都市ごとにそれぞれ特徴が少しづつ異なります。特にイタリア北部の都市で作られるスーツはロンドンに近いスタイルが多いです。世界中にイタリアン・スーツが有名になったきっかけは1952年に開かれたフィレンツェのピッティ宮殿でファッションショーでローマ製スーツが発表されたことでした。スーツは元々イギリスの上流階級の間で育まれた衣装であったため、1950~60年頃まではイタリアン・スーツは世界中で広く認知されていた分ではありませんでした。しかし、イタリアには多くの巨大生地メーカーや、スーツのトップブランドがひしめき合うスーツブランドの強豪国にまでなっており、現代のスーツ業界をリードする存在となっています。
スーツの伝来とサルトリア(テーラー)文化の発祥
イタリアのスーツの歴史を辿って行き、1800年代中盤まで遡ります。貴族は自分の館に仕立て職人を呼んで衣装を誂えている時代の中、逆に店に人を呼ぶ仕立て屋というものがイタリアに誕生したのはイタリアが統一される1861年より少し前のことです。1850年にサルディーニャ島で初めてサルトリア(テイラーの意味)・カスタンジアがオープンしました。これはスーツが今の原型の形になるよりずっと前の時代です。イギリスの上流階級の人間がイタリアにバカンスに訪れた際に彼らの所でスーツ(この頃はまだラウンジ・スーツ)等を仕立て、イギリスのスーツがイタリアで認知されていきます。
産業化していくスーツづくり
イタリアの仕立て屋たちはイギリスのスーツを解体しその構造を調べて自分のものにして行き、1900年代初頭にはイタリアのサルトリアの評価は国内で絶賛されるようになります。さらには、仕立てられたスーツを社交の場で着ていくことを意識し始めるまでになり、 1800年代後半から1900年前半にかけてサルトリアでの仕立服着用する文化も根付いていきます。また、その傍らでイタリアでは生地産業も確立されていきます。アルマーニのファーストラインのスーツを製造していたVestimenta社を輩出したSomma社は1865年ミラノの郊外のSomma Lombardoにてウールの生産を始めました。1910年、18歳若きErmenegildo Zegnaはビエラの近くアルプス山麓に位置するトリヴェロのゼニアの織物工場を設立しました。ゼニアは調達から紡績、染色、製品化まで一貫して生産し、1938年にはアメリカに輸出する企業になります。
イギリスはサヴィル・ロウを中心としたテイラーと上流階級がスーツ産業をリードしていく一方で、イタリアでは新進気鋭の産業家達がスーツを一大貿易産業へと成長させていくのです。
イタリア初の男性ファッションショー
1945年、すでにテーラーとして名声を得つつあるナザレノ・フォンテコリとセールスマン兼フィッターであるガエターノ・サビーニの二人はイタリアはローマのバルベリーニ通りに後に世界トップブランドとなる富裕層向けのスーツブランド、ブリオーニを創設します。そして1952年に、ブリオーニはイタリア史上初の男性のファッションショーをフィレンツェのピッティ宮殿で行います。
重厚な素材を使うブリティッシュ・スーツに反して、気候の温かいイタリアならではの軽やかな素材で作られたブリオーニのスーツは世界に衝撃を与え、イタリアン・スタイルのスーツが世に知られるきっかけとなりました。
こうしてローマ発でイタリアン・スーツが世界に花を開いていきます。その一方で、イタリアのスーツスタイルを語るには触れなくては行けないのがナポリのスタイルです。ローマから北の、ミラノ、フィレンツェと言ったイタリア北部の町の仕立ては実はイギリスのスタイルに近いものが多いですが、イタリアの中でももっとも特徴的なのが南部の町ナポリで作られるスーツです。
イタリア独自のナポリスタイルの発展
港町であったナポリへも早くからイギリスの服飾文化が伝わっておりました。その当時、服を仕立てるときは仕立て職人を呼んでオーダーをするのが一般的だった頃に、仕立て職人であるモルツィエロが店を構えてそこに顧客を招いて仕立てをすることを始めました。そこで働いていたのがナポリスタイルの開祖と呼ばれるヴィンツェンツォ・アットリーニでした。モルツィエロはその技術の高さから上流階級が集まるようになり、大成功しますが第一次大戦の中に閉店することになります。
しかし、モルツィエロの出資者の一人の甥であり、モルツィエロで顧客とも親しく交流をし、今でいうスタイリストのような事もしていたルビナッチ・ジェンナーロが周囲の薦めによりお店を1930年にロンドンハウスという名前で再開し、ヴィンツェンツォ・アットリーニもそこに加わります。
ロンドンハウスは今までの仕立て屋とは異なり、現在の洋服店に近い形態でした。つまり積極的にディスプレイを飾り洋服をイメージで売る事をはじめたのです。また、アットリーニはスーツに改良を加えて、現在ナポリ仕立てと呼ばれる多くのデティールを生み出していきます。袖口4つのボタンを少しずつ重ねて付けるキッスボタン、直線的にデザインしていたポケットのラインを船底のような緩やかなカーブにするバルカポケット。動きやすさを確保しつつ肩回りをすっきり見せるマニカカミーチャ(雨振り袖)など様々な独自の仕立てが現れます。
マニカミーチャ
ナポリはミラノなどのイタリア北部の町と比べるととても暑く、また工業化が進まないいわゆる田舎の港町だったため、イギリスで着られるようなかっちりとしたスーツは好まれず、また工業化されずにほとんど手作りでスーツが生産されていたため、スーツのスタイルが独自の形を帯びるようになります。キッチリと鎧のように着込むイギリスでは、マニカミーチャの仕立てなどは考えられない仕立てでしたでしょう。
新しいスーツスタイル ”アンコン”
そしてもう一つ、イタリアのスーツ産業を語るために象徴的なのがアルマーニです。アルマーニは新しいブランドで、1975年にジョルジオ・アルマー二と建築家のセルジオ・ガレオッティがミラノを拠点に展開を始めたブランドで、誰もが聞いたことがある世界を代表する男性服ブランドです。
ジョルジオ・アルマーニはもともと医学生をしてたところ徴兵され、その後スーツのバイヤーとなり、さらに職を変えてデザイナーとなった異色の経歴の持ち主です。彼は日頃顧客から要望されていたより着心地の良いスーツを作るために、ジャケットを解体してスーツとして必要な最低限のパーツだけで作成したジャケットを世に出しました。アンコンストラクテッド・ジャケット(アンコン、アンコン仕立てのジャケット)と呼びます。
アンコン仕立てのジャケット
アンコンは通常のスーツジャケットとは異なり肩パットが無し、裏地無し、さらには芯地も使用しないソフトなスーツです。生地も柔らかい素材を使うことが一般的です。軽く、夏の服装にも合わせやすい涼しさがあります。また薄いために体型にフィットして自然なシェイプを表現できるジャケットです。生地のチョイス次第でカジュアル感を出すことができる、とても汎用性が高いジャケットも作られます。イギリスの作り込まれた“構造的”な、甲冑のようなスーツのまさに対極にあるスーツがアンコンです。1980年代にこの新しいスーツは瞬く間に広がって行きます。
アルマーニは映画を通して自社のブランドを売り込むなど商業的な成功にも力を注ぎ、カジュアルファッションの展開も広く行っている巨大ファッションブランドと現在はなっています。しかし、その原点にはスーツをファッションアイテムとして切り開いていった近代的なイタリアン・スーツブランドの開祖の一角としての活躍があり、イタリアのファッション産業の層の厚みを感じさせます。
イタリアのスーツの特徴
イタリアのスーツの歴史から分かるように、イギリスの様な明確なドレスコードに基づかれてないため自由な発想があり、各都市・各デザイナーのオリジナリティが強くあります。また、イギリスより暖かいため生地が薄く、着心地を重視したものが多く、また国民性から色が艶やかなのも大きな特徴です。
イタリアでは初期の頃から起業精神溢れるビジネスマンが対海外への“ファッション産業”としてスーツ産業を発展させていき、伝統や格式より華やかさを重視するのがイタリアンスーツの根幹としてあるのではないでしょうか。
- 肩のパッドは薄い自然な肩
- ウェストラインは体に吸い付く自然でスリムなライン
- クッションのないパンツの長さ
- 低いコージライン
- 軽やかな生地
- 基本的にジャケットは脱がず、ベストを着るためパンツの位置は高め
ファッション性を求めるため、年ごとにテイストが異なるのも特徴です。ナポリの場合は軽やかにカーディガンを羽織るように着れるスタイル。イタリア北部の場合は軽やかで自然なラインを持ちつつエレガンスなスタイルです。流行を追うスタイルが多いため、飽きやすいスタイルのスーツも多くあります。イージーオーダー店などではクラシカル飽きのでずらいスタイルを提供することが多いですが、用途をよく考えてながらスーツを選ぶのが良いのではないでしょうか。
まとめ
以上、イギリスとイタリアンのスーツスタイルの違いと歴史に触れて着ましたが、いかがでしょうか。
イタリアでは各々のセンスに合わせて自由にスーツをアレンジしていきます。スーツ産業は多彩なビジネスセンスを発揮させていく最新のビジネスの現場でもあり、イタリアのデザイナー/サルトリアはより純粋なファッションとして衣服として楽しむためのスーツを提案しています。軍人や王侯貴族を相手としたお堅い生業をしているイギリスのサヴィル・ロウとは大きく異なった進化を遂げていったことが、イタリアのスーツ産業の成功の秘訣なのかもしれません。
その一方で、王族の定めるドレスコードが装いを律する中、伝統と格式を重視しあくまでも簡略した礼服としての立ち位置を忘れないイギリスのスーツは時代に流されない確固たる、軸となるスーツスタイルを形作ります。魅力的でセクシーなスーツがイタリアのスーツには多いですが、カジュアル感強く出てしまうこともあります。
スーツスタイルの違いと歴史を頭に入れながらスーツを選ぶことで、よりTPOに即したスーツの着こなしを目指してください。
記事ブランド毎のスーツ格付け(価格別)
東京で働くサラリーマンようです。今日は有名処のメーカーの生地の参考価格帯ランク(質ではない)の紹介です。
主なスーツ生地ブランドの生地との価格帯の紹介を分類ごとに行っていきます。なお、同じ価格帯でも生地としての性能が良いかどうかはまた別の話です。
価格帯ランク(参考)の説明
- Rank 1 4~ 7万円:ブランド生地の最低価格帯
- Rank 2-/2/2+ 6〜10万円:機能性・ハイパフォーマンス生地、ハイブランドの入門
- Rank 3-/3/3+ 8〜15万円:高機能性生地、ハイブランドの入門生地
- Rank 4-/4/4+ 10〜20万円:ハイブランドのフラグシップ等
- Rank 5-/5/5+ 18〜40万円:ハイブランドの高級生地など
- Rank X 50万円〜 :特別な生地
※”日本”のメジャー処のイージーオーダーを基準とした目安です。
※過去のコレクション、取扱いが限定されたコレクションも含みます
スーツに使う生地や素材の用語
スーツに使う生地や素材に関するまとめです。
少しづつ書き足していきます
目次
糸の違いについて
スーツの生地は細く長い羊毛を使用した糸、梳毛糸(そもうし)を使用するのが基本です。長い羊毛を使うことで丈夫な生地になり、細ければ細いほど高級感のある光沢がでてきます。
一方で、コートを中心に冬物のスーツにも使われる太く短い毛を用いて作る糸を紡毛糸(ぼうもうし)と呼びます。紡毛糸は毛羽立ちがあり柔らかいのが特徴です。
梳毛糸
長く細めの羊毛を編んで作る糸です。英名では梳毛をウーステッドと呼びます。ウーステッド・フランネルと書いてあったら梳毛糸で作成したフランネルということになります。
紡毛糸
太く短い羊毛で編まれた糸を紡毛と呼びます。英名では紡毛糸をウーレンと呼びます。身近なもので毛糸などが紡毛糸にあたります。もこもこと毛羽立っているのが紡毛のイメージです。紡毛糸の特徴として起毛加工に向いており、起毛処理(毛を浮き立てる)によって毛羽立てることにより断熱性を高める処理ができます。
番手/番手の表記
糸の太さを表す単位です。英国式で、綿糸の場合、重さ1ポンド(約454グラム)で長さが840ヤード(約768メートル)のものを一番手とする。長さが二倍になれば二番手、三倍になれば三番手とし、その数が多くなるほど糸は細くなります。
2/52×2/52と書くと双糸の52番手の経糸、双糸の52番手の緯糸を組み合わせた生地を意味します。
Super XX's
番手は糸自体の太さを表すのに対して、Super XX'sは糸を作る原毛の太さを表します。
スーツの生地を織る糸は、何本もの羊毛(ウール)を捻じって一本の糸にします。国際羊毛繊維機構(IWTO)がスーツの生地に使われる羊毛の太さを表しています。
Super 80’s 平均直径:19.5μ
Super 90’s 平均直径:19.0μ
Super100’s 平均直径:18.5μ
Super110’s 平均直径:18.0μ
という感じで、番号が10上がるごとに細くなっていきます。つまり細いほど、番号が高いです。
SuperXX’s表記は一世風靡しましたが、実際は各々のブランドで原毛の測定が行われており、また、原毛の質などはSuper表記の基準に入りません。品質の高い羊毛は色が白いため発色が良いスーツに使われ、毛の状態が良いため吸湿性があり皺になりにくいです。あくまでも目安としてみるのが良さそうです。
撚糸 / 強撚糸
通常より糸に撚りをかけた糸のことです。撚りをかけるとは、ねじることです。強撚糸は撚りの回数や強さが強い糸です。撚糸の特徴としては、「吸湿性と速乾性がある」、「通気性がよい」、「毛羽立ちが少ない」、「繊維が丈夫で長持ちする」などがあります 夏用の生地に多く使われます。
双糸
双糸とは、2本の糸を撚り合わせた糸で 太さは倍くらいになり、1本の糸(単糸)よりも 太さが均一な糸になります。 3本以上 4本とか合わせる場合もあります。 双糸は撚り合わせるので 糸にコシもでます。 ですから 表面の平滑な短繊維 織物のシャツ地等には 双糸が使われている事が多いです。
英語圏では撚り合わせる糸の本数に従って2PLY、3PLY、4PLYと表記したりします。
コンパクトヤーン
ヤーンとは撚糸、編み糸のことです。コンパクトヤーンは通常糸を紡いだ時に発生する糸の毛羽立ちを糸の内側に編み込む技法を用いることによって、糸から発生する光沢の妨げとなる毛羽を抑え込み、糸本来の糸の光沢を出させることを可能にた糸です。毛羽がないため、糸の織や糸がよりはっきり見えることも特徴です。
織の違いについて
スーツに使用するウール生地の織り方は、大きく「平織(ひらおり)」、「綾織(あやおり)」、「繻子織(しゅすおり)」の3種類に分ける事ができ、そこから細かく様々な織りの種類に名付けられております。
平織 綾織 繻子織
平織(Plain)
最も単純な織り組織で経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸が一回ずつ浮沈を繰り返す織り方。丈夫な生地で、糸と糸の間に隙間を持たすことが出来るので通気性が良いのが特徴になります。主に、夏物に使用されるて、ツヤが出にくいのも特徴。
トロピカル、フレスコなど平織りで作られた生地などが平織りの代表格です。
綾織(Twill:ツイル)
経糸が緯糸の2本分浮き沈みを繰り返す、斜めに線が浮き上がって見える織り方。織り密度が高くなるので冬物として使用される事が多く、耐久性や保温性に優れています。経糸が多く表面に浮き出るのでツヤが出やすいのが特徴。
繻子織
朱子織とも書きます。 経・緯どちらかの糸の浮きが非常に少なく、経糸または緯糸のみが表に表れているように見える。 柔軟性に欠けて生地が弱いですが、上品な光沢が特徴のため礼服などに用いられます。
礼服生地として好まれる。ドスキン(doeskin)などは繻子織りで作られた記事です。
二重織(にじゅうおり)/ダブルクロス/ダブルワープ
二重織りとは重ね織りのひとつで、文字通り2枚の織物を重ねて一枚にするように織った生地です。経糸、緯糸のいずれか、あるいは両方が二重に組織されております。経糸か緯糸片方のみを二重組織とした二重織をセミダブルクロス/経二重織/緯二重織などと呼び、経糸と緯糸の双方が二重組織となったものを本式ダブルクロス/経緯二重織と呼んでいるそうです。また、二重織りをダブルワープとも呼ぶようです。
二重織は表と裏でデザインを変更して表裏別の色にしたり、2枚の生地の空間を利用して軽量で厚地にしたり、上質な肌触りを確保しつつハリコシや柔らかな風合いを再現したりと多彩な表現が可能な織り方です。
糸の量が多く生産が複雑になるため、コストが高く、贅沢な織物となります。
プルーネラ織り
通常の緯糸2本・経糸2本の綾織の替わりに、1/2の織構造を持つ綾織の一種です。経糸が2本浮いて2本沈む通常の綾織より多くの経糸が使用されることになり、目が細かく軽やかで洗練された雰囲気を持つ。耐久性が高く、滑らかな表面が特長です。
目付
目付けは生地の単位長さ、面積当たりの重量です。スーツの場合は目付けと言ったら1m当たりの重さです。生地の横幅は大体150cmなので、150cm✖️1mの大きさの生地の重さですね。冬の生地は大体300-350g/m、夏の生地は大体200g/m程度の目付けが多いです。
打ち込み
スーツやジャケットの生地の織り感を表現するときに使われる用語です。ようは、生地の密度のことです。昔は生地を作るときに糸を打ち込むように入れていったことから、生地の糸の密度が高いことを打ち込みが強いなどと表現しました。
一定の長さの間に織り込まれる経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の本数を具体的には指し、織り込まれる各糸の本数が多いものを「打込みが強い」「ハリ、コシがある」といった言いかたをします。打ち込みが強いと糸密度の高い丈夫な生地になります。
日本製・英国製服地が丈夫で生地に強いコシがあるといわれるのは、双糸をしっかりとした打込みで織り上げられているところからきます。
生地の加工
クリアカット加工・仕上げ/ドライフィニッシュ
クリアカット加工とは、表面の毛羽(ケバ)を 焼いたりせカットするなどして綺麗にする仕上げ方法です。適度なツヤとさらっとした手触りが特徴です。主に薄めの梳毛織物のように元々毛羽の多い布生地を 春夏向きにするために用いられます。
縮絨
布に圧力を掛けて縮めると、毛の先端が絡み合ってフェルト状にする加工を縮絨と言います。石鹸(せっけん)溶液やアルカリ性溶液で湿らせ、圧力や摩擦を加えて収縮させます。両者は共に縮絨が掛けられているので、似た風合いになるわけです。
ミルド(マイルド)加工・仕上げ
梳毛織物(ウーステッド)に対して、縮絨をほどこし、毛羽感を出したあと、剪毛し圧絨を行うことで、布地表面に織り目が見える程度の短い毛羽を持たせる織物仕上げのこと。起毛は行わないところに特徴があります。
ナチュラル・ストレッチ(Natural Stretch)
ナチュラル・ストレッチは生地の種類でもあります。主にウール(羊毛)のみを用いた生地にストレッチ性を持たせること、持たせた生地を指します。
通常ウールの生地は伸縮性がありませんが、糸を編む際や生地を打ち込む際に特殊な処理をすることにより生地にストレッチ性を持たせることとができます。例えば、糸が収縮した状態のまま形状記憶させて生地を編む技術があり、そうすることによって糸が伸びる余裕ができ、生地にストレッチ性ができるそうです。
一般的な生地の種類(秋冬向け)
フランネル / フラノ(Flannel)
フランネル、フラノと呼ばれる厚手の秋冬の生地 。
スーツ以外にもコートやシャツ、手袋などでも使用される生地です。毛を縮ませ生地の厚みを出す縮絨(しゅくじゅう)という工程が入るのが特徴です。
フランネル特有の風合いを決める重要な仕上げの方法で、織られた生地を水に浸して揉み、糸が絡み合い縮んで厚みを増すというものです。この縮絨の後に、起毛加工され「フランネル」になります。
ネルシャツのネルはフランネルのネル。
サキソニー
同じく紡毛糸(ぼうもうし)を使用した織物で「サキソニー」という秋冬の定番生地があります。「フランネル」と同様に洗って縮める、縮充(しゅくじゅう)加工をするので、風合いが似ている素材でもあります。
「サキソニー」も縮充する工程がありますが「フランネル」の半分ほどに軽く縮絨するのがポイントです。
その縮充の度合いの違いにより「フランネル」と比べ「サキソニー」は薄く柔らかい手触りと光沢、織り目が見えることが特徴です。
一般的な生地の種類(春夏向け)
トロピカル
梳毛糸で平織りした夏定番の生地。
トロピカルは薄手でシャリッとした肌触りが特徴の生地で、細番手の糸を使って通気性を高めたり、クリア加工によって艶を出しているタイプが多いです。各社様々なトロピカル生地を出しているので比べてみると面白いでしょう。
フレスコ/ポーラ
英名での商標がフレスコ、それ以外ではポーラと呼ぶようです。トロピカル生地の亜種なのですが、3本からなる強撚梳毛糸(ポーラー糸)を平織りにした通気性の高い夏生地のことを特に指し、現在は強撚糸使いの平織り素材を総称してポーラーと呼ぶ場合が多いようです。さらりとした涼感のある夏服地で 気孔性がある(風通しがよい)のが特徴です。
ホップサック
2から3本の経、緯で斜子織(ななこおり)した生地です。折り目が荒い籠の目状の形ではっきり見えるのが特徴で、若干カジュアル感が出ます。名前の由来はビールの原料ホップを入れた袋が織物です。通気性が良く、見た目もからも涼感が漂う 夏物のジャケット地には最適です。
「斜子織り」は平織りの変化形で、通常の平織りがたて糸・いと糸1本ずつが交互に交差する形だとすると。1本ずつではなく、2本またはそれ以上の複数の束ねられた糸が交互に交差する織り方のこと。
かなりざっくりした生地ですが、光沢感も楽しめます。
ウール以外のスーツ生地素材(天然素材)
シルク(絹)
シルクは蚕の繭からとった動物繊維です。
肌触りがなめらかでとても良いですが、化繊と違い静電気を起こしにくいため、パジャマなどにもよく使われます。強い光沢があり、吸湿性・保温性・放湿性に優れていますが、摩擦に弱い欠点があります。耐久性が下がりますが、非常に上品な光沢を生むために、シルク混のスーツはとても贅沢なスーツになります。
20%混程度なら上品なビジネス用スーツに、40$混程度ならパーティー用のスーツなどに活躍するかと思います。
モヘア(アンゴラ山羊)
モヘアは、「アンゴラヤギ」という種類のヤギから取れる毛です。滑らかで美しく、ヤギの毛特有の光沢感があります。
スーツで一般的に使用されるウール(羊の毛)よりも、クリンプと呼ばれる毛の縮れ(ちじれ)が弱いため、衣服内に保たれる空気が少なく、体温や汗などの湿気がすぐに放出されます。スーツ生地は、ウール100%(羊の毛100%)で作られることが多いですが、モヘアを加えることにより、通気性が増すので涼しく、夏人気の生地になります。モヘアの割合が多いほど、通気性に優れモヘアならではの光沢が強く出ます。
シワになりにくい素材ですが、摩耗などの耐久性が低く、ウールの割合が多い方が耐久性では優れます。また、雨にも弱く雨に打たれるとボコボコと波打ちます。
アンゴラヤギは、2歳を過ぎると毛が太くなります。生後6ヶ月のアンゴラヤギの毛は「キッド・モヘア」と呼ばれ、より滑らかで、さらに高級とされています。
カシミア(カシミヤ山羊の産毛)
カシミヤはインド北部のカシミール地方に生息する山羊が由来。カシミヤ山羊から採れる素材です。(主な産地はモンゴル、中国です)
カシミヤは毛の中でも、特に内側に生えている繊維が細い産毛(うぶげ)を原料とし、ヤギの外側を覆う太くてごわごわした刺毛(しもう)はのぞかれます。気候の厳しい朝夜の温度差が大きい山岳地帯に生息する山羊の産毛からしか取れないため、その希少性から繊維の宝石とも呼ばれる超高級素材です。カシミアを使うことで軽量ながら暖かく、とても滑らかなで上品な質感の生地となります。
カシミヤの値段が高騰してからの一時期、カシミヤの混入率を偽装するのが巷で流行りました。。。また、ひとえにカシミヤと言っても高地で育てられた山羊以外の毛や、繊維の太い刺毛等が使われていることがあります。一般的なカシミヤの原毛の太さは14~16ミクロンです。品質の高い細く上質なカシミアはとても肌触りが良く、暖かで、非常に高価です。カシミアが巷で安い値段であふれるようになったのは、品質の低い原毛までカシミアと言ったり、カシミアの量を少なくしたしたからです。
カシミアの特徴は、軽く、保温性・保湿性に優れ、やわらかい手触りを持ちながら上品な光沢感と風合いを持ち、弾力性に優れて型崩れしにくいというものです。
デメリットはピリング(毛玉)発生しやすい(良いカシミアはピリングできにくいですが)、デリケートな素材の為お手入れが難しいというものです。
カシミヤ生地のメーカーとしては、高級生地素材を広く集めるロロピアアーナ社が有名です。特にロロピアーナ社のベビーカシミヤ(生後5~6カ月後の山羊から初めて取られる産毛)から作られるコートやセーターはヨーロッパブランド勢の猛烈な値上げ攻勢の影響もあり20-40万近い値段となりますが、非常に評価が高いです。お金に余裕があったら、一度は手に入れてみたいですね。
リネン(麻)
リネンは日本では麻と呼び、主に植物の亜麻等を原料に作られた繊維です。夏用の衣服素材であり、シワ感を出す生地を作ることによってラグジュアリー感のある贅沢なジャケット、サマースーツを仕立てるのに最適です。
リネンの割合が多いとシワ感が出るので、ビジネス用途には向かない場合が多いです。また、ワンシーズン着ると膝が抜けてしまいボコッと出てしまうことが多いです。通常スーツはシワを極力抑えることが大切ですが、麻のスーツを着る場合はシワ感を楽しむスーツとなります。リネンのシワというものは細かく、綺麗で、よりカジュアルな装いを演出します。季節感を楽しむのにうってつけの素材です。
麻の機能としては、硬くしっかりとした手触りと、毛ばたちの少なさからくる光沢、そして肌ざわりの良さがあります。引っ張られる強度が強いということもありますが、同時にストレッチ性がないので、フィッティングはウールや綿を使用する時に比べ、ゆとりを若干多くとるよう調節します。
超高級スーツ生地素材
ビキューナ(ビクーニャ)(Vicugna)
ビキューナ(vicugna)は、アルパカ、ラマ(リャマ)、グアナコの近縁の動物です。伝統的には、ビキューナとアルパカをビクーニャ属に、ラマとグアナコをラマ属にまとめられるそうです。
ビキューナはとても希少で、その毛は最も細い繊維の一つです。毛の太さは10ミクロンほど。2年に一度しか毛の刈り込みは許可されておらず、1回の刈り込みで成獣1頭につき250 - 350gの体毛しか得られません。
かつては200万頭が生息していたと推定されるが、肉と良質な体毛を得るために乱獲され、インカ帝国同様に情け容赦ない侵略者の犠牲になり、1960年代には1万頭以下まで生息数を減らしていた。しかし、1993年には、インカ帝国時代に行われていた伝統技法でビクーニャを殺さずに体毛を刈るための囲い込み(チャク)が復活し、地元民にその収益が保証されるとあって、ビクーニャに対する保護意識が高まった。その甲斐あって、2010年には40万頭を超えるまでに生息数が回復している。
ビキューナ製品は超高級ブランド化しており日本で買う飛んでもなく高いです。ただ、アメリカとかではビキューナのマフラーは1000ドルくらいが相場だそうです。通販だと600ドルくらいでしょうか。Incalpaca TPX(ペルー最大のアパレル企業)などが南米だと有名です。
キヴィアック(Qiviuk)
キヴィアックはジャコウ牛(Muskox)外毛の下にある産毛を集めたもので、原毛の太さは、16.5-18.2ミクロン程度。その希少性の高さから、ビキューナに並ぶ超高級原毛として取引されております。繊維はカシミアよりも細く、なめらかで、光沢があるのが特徴です。
ジャコウウシは極寒地域(カナダおよびグリーンランドの北部・東部といった北米地域)に多く生息しています。地球上でもっとも寒かった氷河期の時代から現代まで生き残った一番大きな草食動物です。非常に臆病な動物であるジャコウウシは、家畜化することができず、野生動物から毛を調達。木や岩などに体をこすりつけるという習性を持ち、主に落ちている毛を採取して、製品化を行っているるそうです。
キヴィアックは今までほとんど生産されたことがないです。世界的生産量は年間5~8トン。(カシミアの3000分の1)加 カナダ政府によって年間の捕獲量が制限されて、グリーンランドで伝統的に行われる狩猟に委ねられている部分も大きく、猟は厳しく管理され、自然の生態系安定を尊重しています。
パシュミナ(Pashmina)
カシミアの一種です。 4000メートル級の高地に生息しているヒマラヤ山羊の冬の間だけ生える「首から胸の毛の柔毛」だけを集めて織った生地を特に指すそうです。
高知の山羊は厳しい冬の寒さを防ぐために、冬の間だけ、極細でとびっきり暖かな、ふわふわの毛が首の下部に生えてきます。そして暖かくなると、山羊たちは岩に体をこすりつけて、やわらかな毛を落とします。昔はその毛を拾い集めて、最高の肌ざわりのパシュミナショールを作っていたそうです。(※今は落ちた毛だけではないそうです)
パシュミナは、肌触りがよく、原毛が美しく発色が良い上に、独特の光沢と、ぬめりがあり、軽くて大変暖かく、ネパールやインドで伝統的にストールの素材として使われてきました。その際、パシュミナは繊維が細すぎるため、基本的には手で織らず機械で織られてきており、シルクとパシュミナを合わせてシルクパシュミナとして織られることが多いそうです。
キルギス/キルギスウール(KIRGYZ)
キルギスウールはキルギス共和国のの標高3500mの天山山脈の牧草地で暮らすヤギが原産です。この繊維は最高級のカシミアと同じ細さ、パシュミナと同じ柔らかさ、シルクと同じ光沢に輝くと評価されているそうです。ドーメル社(Dormeuil)などがキルギスウールを混合した生地を生産しております。
ウール以外のスーツ生地素材(化学繊維)
スーツに使われる化学繊維には、合成・再生繊維などがあります。
合成繊維は主に石油などを原料にした化学繊維、再生繊維は天然素材は化学反応を用いて一度溶かして繊維に再生したものを指します。
ポリエステル(合成繊維)
石油を原料とする最もポピュラーな合成繊維です。様々なスーツに使われる、コスパに優れる化学繊維です。
欠点は、静電気がたまりやすい、ぷつぷつした毛玉ができる、安っぽい、深いシワクチャなシワができると取れない。また、吸水性が無いので、肌にぴったりと張り付きます。
利点は、シワニなりにくい(深いシワは別)、軽い、速乾性が高い、安い。
安くチープな素材という印象ですが、ポリエステルをうまく織り込むことでその欠点を抑えつつパフォーマンスの優れる生地が作成されており、良いポリエステル混生地は高級な夏用のスーツ生地として人気です。例えば御幸毛織のシャリックなどは特に夏用の生地として人気で、質感はウール地でありながら軽く、耐久性も高く、通気性もとても高いです。生地の価格を落とすためにポリエステルを使うのではなく、ポリエステルの中心にウールを巻き付けるようにして生地を作っているそうです。
また、生地の質感がシャープになるので、生地の柄や模様を際立たせるためにも使う場合があります。
ポリウレタン(合成繊維)
伸縮性の高いプラスチックの一種である化学繊維。スーツに高いストレッチ性を持たせるのに活躍します。
利点は、非常に伸縮性が高い、生地のコーティングが可能、安いというところ。短所は加水分解するため3~4年で寿命が来てしまうところです。
スーツですが倉庫作業などの必要がある場合、ストレッチ性のあるスーツ素材はとても助かります。低価格でストレッチ性を実現するスーツに広くポリウレタン素材が使われています。
ウール100%でもストレッチ性のあるスーツもありますが、大抵は高機能性高級生地として位置づけられており、10万円長のスーツラインとなる場合がほとんどです。
作業用のスーツとして割り切るのでしたら、ポリウレタン昆のスーツは良いかもしれません。
Lycra(ライクラ)/Spandex(スパンデックス)(合成繊維)
こちらもポリウレタンの事です。特にスパンデックス(Spandex)はポリウレタン弾性繊維の一般名称として使われます。デュポン社が1959年に開発、「Lycra(ライクラ)」の商標名で発売したため、ポリウレタン繊維混合生地をLycra1%等と表記することが多いようです。
ナイロン(合成繊維)
石油・石炭を原料とする丈夫な化学繊維。ポリエステルに似た特徴を持ちます。鞄素材として広く使われます。カジュアルなスーツ素材として使われることがあります。
特徴はポリエステルに似ています。丈夫で伸縮性に富み、軽い化学繊維の生地です。摩擦や折り曲げに強いこと、シワになりにくいこと、乾きが早いこともメリット。反面、静電気が起きやすく、熱に弱く、吸水性が低く、日光で黄ばむこともあります。
ポリエステルと大きな違いは強度がとても高く伸縮性がある一方で、熱に弱い事でしょうか。日光に弱いので陰干しが必要な点も特徴です。
スーツの生地としては丈夫さやストレッチ性を生かしてウールとの混紡などで使われます。
キュプラ(再生繊維)
キュプラはコットンリッター(綿花を取った後綿花表面に生えている2~6mmの繊維のこと)を原料として作られる再生繊維です。中程度以上の価格帯のスーツの裏地として使われます。
元は綿ということもあり、キュプラは吸湿性、放湿性がある、合繊維ながら静電気が起きにくい利点があります。また、やわらかくしなやかで、ドレープ性があります。
しかし、摩耗などの耐久性が低く毛羽立ちやすい特徴があります。水にも弱いので、クリーニングが難しくなります。
ジャケットなどの裏地をキュプラにした場合、裏地のほうが先にダメになる場合が多いです。その場合は裏地だけ張り替えてもらいましょう。
パンツ生地の裏地などは特に摩耗の負担が多いので、キュプラは避けたほうが無難に思います。
カジュアル感のある生地素材・ジャケットコート向け生地素材
コットン(綿)
シャツ・デニム・チノパンなどに主に使われますが、イタリアを中心にスーツにも使われますが、コットンのスーツはカジュアルなスタイルとなります。
コットン(綿)は綿植物の身が熟して中から出てくる白い種子毛、これを「綿花」と言います。コットンはこの綿花を摘み取り、機械で繊維と種子を分離して作られます。加工・染色がしやすく、コストも低く、選択などもしやすいので広くカジュアルな衣料に使われています。
ストレッチ性が小さいことや、洗うと縮む、シワになるなどの欠点もある中、衣料用の全繊維の40%はコットンが使われています。加工・染色のしやすさ、吸水性、コストの安さなどのたくさんの利点があり、短所は織り方や加工・化学繊維などの混用で抑えることができる万能的な素材です。
メルトン
暖かさが特徴の定番の生地です。コートの記事に使われる厚手のフェルト上の生地です。「メルトン」も紡毛糸を使用しますが、太く柔らかい紡毛糸を使用することが特徴で、通常「フランネル」より厚くなります。
メルトン加工
「フランネル」などと同様に縮充をした後、布面のケバを短く刈取り,ブラシかけをするメルトン加工をします。
これにより、「メルトン」特有の表面がケバでおおわれたように見える風合いがでます。保温性がとても高いので主にコートの生地などに使用される高級素材になります。
ツイード
厚手で丈夫なざっくりとした風合いのツイード。秋冬のカジュアルなジャケットスタイルなどの時に多用されます。
スコットランドにて羊毛を手でねじり糸にして手織りされていた「ホームスパン」というものが原型で、これをツイード川流域で作られたことがこの生地の始まりです。
縮充の工程はなく、起毛もさせません。織られる前に糸を様々な色に染め上げるのが、ツイード特有の色合いを作ります。
防寒性の高さや、シワになりにくい長持ちのするツイードで仕立てられるジャケットは、元々漁師さんがきていた程です。固くしっかりとしており、良いものはメンテナンスしながらエイジングを楽しみ、孫に受け継いでいくことができるものもあります。
シアサッカー
生地表面のでこぼこが特徴のシアサッカー。コットンを使用した「シアサッカー」は、織り方による加工で、生地の表面にでこぼことしたシボを作ります。しじら織りとも呼びます。
そのでこぼこによって、さらに通気性をよくし、肌に触れる面積が少なくなるので肌に張り付かず、すっきり着用できます。
そのため、シアサッカーは、スーツやジャケットを仕立てる代表的な夏の生地ですが、
生地にでこぼこ感ができるため、カジュアル色が強い生地となります。
生地のブランド系統について
ミル/ミル系
ミルと言うのは織元をさし、ミル系の生地ブランドは自前で工場を持ち生地を織っているいるブランドを指します。仕入れから生地の生産まで一貫しており、伝統的な技法の生地から、最新の技術を駆使した生地を多く世に出します。織りの速度や手順を変えて風合いをやらわくしたり、糸から加工を施しストレッチ性・空冷機能や保温機能生地などウール生地に機能性を持たせる卓越した技術を持ている会社が多くあります。
また、間に生地商社を挟まないため、生地の品質に比べて価格を抑えやすい傾向があるように思います。
マーチャント/マーチャント系
マーチャント毛織・繊維商社のことで、基本的には自社で工場を持たないスタイルの生地屋さんです。ただ大手になると自社で一定の工場を持つことが多いです。その場合、
1)各所から仕入れた材料を織元に依頼して生地にしてもらう。
2)生地の企画をマーチャント側で行い、材料や生地を織元に任せて作成する
3)生地の仕入れから作成まで一貫して自社で行う
など様々な方法で生地を折るため、生地の種類が非常に豊富になりやすく、また、特殊な生地素材を世界中から集めるために珍しい記事を数多く取り揃えています。
企画力がある場合が多く、色やラインナップ等に関しては流行に敏感です。
以上、スーツに使う生地や素材の用語でした。
少しづつ書き足し・修正していきます。