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スーツに使う生地や素材の用語

スーツに使う生地や素材に関するまとめです。

少しづつ書き足していきます

目次

糸の違いについて

スーツの生地は細く長い羊毛を使用した糸、梳毛糸(そもうし)を使用するのが基本です。長い羊毛を使うことで丈夫な生地になり、細ければ細いほど高級感のある光沢がでてきます。 

一方で、コートを中心に冬物のスーツにも使われる太く短い毛を用いて作る糸を紡毛糸(ぼうもうし)と呼びます。紡毛糸は毛羽立ちがあり柔らかいのが特徴です。

梳毛糸

長く細めの羊毛を編んで作る糸です。英名では梳毛をウーステッドと呼びます。ウーステッド・フランネルと書いてあったら梳毛糸で作成したフランネルということになります。

紡毛糸

太く短い羊毛で編まれた糸を紡毛と呼びます。英名では紡毛糸をウーレンと呼びます。身近なもので毛糸などが紡毛糸にあたります。もこもこと毛羽立っているのが紡毛のイメージです。紡毛糸の特徴として起毛加工に向いており、起毛処理(毛を浮き立てる)によって毛羽立てることにより断熱性を高める処理ができます。

番手/番手の表記

糸の太さを表す単位です。英国式で、綿糸の場合、重さ1ポンド(約454グラム)で長さが840ヤード(約768メートル)のものを一番手とする。長さが二倍になれば二番手、三倍になれば三番手とし、その数が多くなるほど糸は細くなります。

2/52×2/52と書くと双糸の52番手の経糸、双糸の52番手の緯糸を組み合わせた生地を意味します。

Super XX's

番手は糸自体の太さを表すのに対して、Super XX'sは糸を作る原毛の太さを表します。

スーツの生地を織る糸は、何本もの羊毛(ウール)を捻じって一本の糸にします。国際羊毛繊維機構(IWTO)がスーツの生地に使われる羊毛の太さを表しています。

  Super 80’s 平均直径:19.5μ
  Super 90’s 平均直径:19.0μ
  Super100’s 平均直径:18.5μ
  Super110’s 平均直径:18.0μ

という感じで、番号が10上がるごとに細くなっていきます。つまり細いほど、番号が高いです。

SuperXX’s表記は一世風靡しましたが、実際は各々のブランドで原毛の測定が行われており、また、原毛の質などはSuper表記の基準に入りません。品質の高い羊毛は色が白いため発色が良いスーツに使われ、毛の状態が良いため吸湿性があり皺になりにくいです。あくまでも目安としてみるのが良さそうです。

 

 

撚糸 / 強撚糸

通常より糸に撚りをかけた糸のことです。撚りをかけるとは、ねじることです。強撚糸は撚りの回数や強さが強い糸です。撚糸の特徴としては、「吸湿性と速乾性がある」、「通気性がよい」、「毛羽立ちが少ない」、「繊維が丈夫で長持ちする」などがあります 夏用の生地に多く使われます。

双糸

双糸とは、2本の糸を撚り合わせた糸で 太さは倍くらいになり、1本の糸(単糸)よりも 太さが均一な糸になります。 3本以上 4本とか合わせる場合もあります。 双糸は撚り合わせるので 糸にコシもでます。 ですから 表面の平滑な短繊維 織物のシャツ地等には 双糸が使われている事が多いです。

英語圏では撚り合わせる糸の本数に従って2PLY、3PLY、4PLYと表記したりします。

コンパクトヤーン

ヤーンとは撚糸、編み糸のことです。コンパクトヤーンは通常糸を紡いだ時に発生する糸の毛羽立ちを糸の内側に編み込む技法を用いることによって、糸から発生する光沢の妨げとなる毛羽を抑え込み、糸本来の糸の光沢を出させることを可能にた糸です。毛羽がないため、糸の織や糸がよりはっきり見えることも特徴です。

織の違いについて

スーツに使用するウール生地の織り方は、大きく「平織(ひらおり)」、「綾織(あやおり)」、「繻子織(しゅすおり)」の3種類に分ける事ができ、そこから細かく様々な織りの種類に名付けられております。

         平織                    綾織                 繻子織

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平織(Plain)

最も単純な織り組織で経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸が一回ずつ浮沈を繰り返す織り方。丈夫な生地で、糸と糸の間に隙間を持たすことが出来るので通気性が良いのが特徴になります。主に、夏物に使用されるて、ツヤが出にくいのも特徴。

トロピカル、フレスコなど平織りで作られた生地などが平織りの代表格です。

綾織(Twill:ツイル)

経糸緯糸の2本分浮き沈みを繰り返す、斜めに線が浮き上がって見える織り方。織り密度が高くなるので冬物として使用される事が多く、耐久性や保温性に優れています。経糸が多く表面に浮き出るのでツヤが出やすいのが特徴。

繻子織

朱子織とも書きます。 経・緯どちらかの糸の浮きが非常に少なく、経糸または緯糸のみが表に表れているように見える。 柔軟性に欠けて生地が弱いですが、上品な光沢が特徴のため礼服などに用いられます。

礼服生地として好まれる。ドスキン(doeskin)などは繻子織りで作られた記事です。

二重織(にじゅうおり)/ダブルクロス/ダブルワープ

二重織りとは重ね織りのひとつで、文字通り2枚の織物を重ねて一枚にするように織った生地です。経糸緯糸のいずれか、あるいは両方が二重に組織されております。経糸緯糸片方のみを二重組織とした二重織をセミダブルクロス/経二重織/緯二重織などと呼び、経糸緯糸の双方が二重組織となったものを本式ダブルクロス/経緯二重織と呼んでいるそうです。また、二重織りをダブルワープとも呼ぶようです。

二重織は表と裏でデザインを変更して表裏別の色にしたり、2枚の生地の空間を利用して軽量で厚地にしたり、上質な肌触りを確保しつつハリコシや柔らかな風合いを再現したりと多彩な表現が可能な織り方です。

糸の量が多く生産が複雑になるため、コストが高く、贅沢な織物となります。

プルーネラ織り

通常の緯糸2本・経糸2本の綾織の替わりに、1/2の織構造を持つ綾織の一種です。経糸が2本浮いて2本沈む通常の綾織より多くの経糸が使用されることになり、目が細かく軽やかで洗練された雰囲気を持つ。耐久性が高く、滑らかな表面が特長です。

目付

目付けは生地の単位長さ、面積当たりの重量です。スーツの場合は目付けと言ったら1m当たりの重さです。生地の横幅は大体150cmなので、150cm✖️1mの大きさの生地の重さですね。冬の生地は大体300-350g/m、夏の生地は大体200g/m程度の目付けが多いです。

打ち込み

スーツやジャケットの生地の織り感を表現するときに使われる用語です。ようは、生地の密度のことです。昔は生地を作るときに糸を打ち込むように入れていったことから、生地の糸の密度が高いことを打ち込みが強いなどと表現しました。

一定の長さの間に織り込まれる経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の本数を具体的には指し、織り込まれる各糸の本数が多いものを「打込みが強い」「ハリ、コシがある」といった言いかたをします。打ち込みが強いと糸密度の高い丈夫な生地になります。

日本製・英国製服地が丈夫で生地に強いコシがあるといわれるのは、双糸をしっかりとした打込みで織り上げられているところからきます。

生地の加工

クリアカット加工・仕上げ/ドライフィニッシュ

クリアカット加工とは、表面の毛羽(ケバ)を 焼いたりせカットするなどして綺麗にする仕上げ方法です。適度なツヤとさらっとした手触りが特徴です。主に薄めの梳毛織物のように元々毛羽の多い布生地を 春夏向きにするために用いられます。 

 縮絨 

 布に圧力を掛けて縮めると、毛の先端が絡み合ってフェルト状にする加工を縮絨と言います。石鹸(せっけん)溶液やアルカリ性溶液で湿らせ、圧力や摩擦を加えて収縮させます。両者は共に縮絨が掛けられているので、似た風合いになるわけです。 

ミルド(マイルド)加工・仕上げ 

梳毛織物(ウーステッド)に対して、縮絨をほどこし、毛羽感を出したあと、剪毛し圧絨を行うことで、布地表面に織り目が見える程度の短い毛羽を持たせる織物仕上げのこと。起毛は行わないところに特徴があります。

ナチュラル・ストレッチ(Natural Stretch)

ナチュラル・ストレッチは生地の種類でもあります。主にウール(羊毛)のみを用いた生地にストレッチ性を持たせること、持たせた生地を指します。

通常ウールの生地は伸縮性がありませんが、糸を編む際や生地を打ち込む際に特殊な処理をすることにより生地にストレッチ性を持たせることとができます。例えば、糸が収縮した状態のまま形状記憶させて生地を編む技術があり、そうすることによって糸が伸びる余裕ができ、生地にストレッチ性ができるそうです。

一般的な生地の種類(秋冬向け)

フランネル / フラノ(Flannel)

フランネル、フラノと呼ばれる厚手の秋冬の生地 。

スーツ以外にもコートやシャツ、手袋などでも使用される生地です。毛を縮ませ生地の厚みを出す縮絨(しゅくじゅう)という工程が入るのが特徴です。

フランネル特有の風合いを決める重要な仕上げの方法で、織られた生地を水に浸して揉み、糸が絡み合い縮んで厚みを増すというものです。この縮絨の後に、起毛加工され「フランネル」になります。

ネルシャツのネルはフランネルのネル。

サキソニー

フランネルを少し柔らかくしたのがサキソニー

同じく紡毛糸(ぼうもうし)を使用した織物で「サキソニー」という秋冬の定番生地があります。「フランネル」と同様に洗って縮める、縮充(しゅくじゅう)加工をするので、風合いが似ている素材でもあります。
「サキソニー」も縮充する工程がありますが「フランネル」の半分ほどに軽く縮絨するのがポイントです。

その縮充の度合いの違いにより「フランネル」と比べ「サキソニー」は薄く柔らかい手触りと光沢、織り目が見えることが特徴です。 

一般的な生地の種類(春夏向け)

トロピカル

梳毛糸で平織りした夏定番の生地。
トロピカルは薄手でシャリッとした肌触りが特徴の生地で、細番手の糸を使って通気性を高めたり、クリア加工によって艶を出しているタイプが多いです。各社様々なトロピカル生地を出しているので比べてみると面白いでしょう。

フレスコ/ポーラ

英名での商標がフレスコ、それ以外ではポーラと呼ぶようです。トロピカル生地の亜種なのですが、3本からなる強撚梳毛糸(ポーラー糸)を平織りにした通気性の高い夏生地のことを特に指し、現在は強撚糸使いの平織り素材を総称してポーラーと呼ぶ場合が多いようです。さらりとした涼感のある夏服地で 気孔性がある(風通しがよい)のが特徴です。

ホップサック

2から3本の経、緯で斜子織(ななこおり)した生地です。折り目が荒い籠の目状の形ではっきり見えるのが特徴で、若干カジュアル感が出ます。名前の由来はビールの原料ホップを入れた袋が織物です。通気性が良く、見た目もからも涼感が漂う 夏物のジャケット地には最適です。

「斜子織り」は平織りの変化形で、通常の平織りがたて糸・いと糸1本ずつが交互に交差する形だとすると。1本ずつではなく、2本またはそれ以上の複数の束ねられた糸が交互に交差する織り方のこと。

かなりざっくりした生地ですが、光沢感も楽しめます。  

ウール以外のスーツ生地素材(天然素材)

シルク(絹)

シルクは蚕の繭からとった動物繊維です。

肌触りがなめらかでとても良いですが、化繊と違い静電気を起こしにくいため、パジャマなどにもよく使われます。強い光沢があり、吸湿性・保温性・放湿性に優れていますが、摩擦に弱い欠点があります。耐久性が下がりますが、非常に上品な光沢を生むために、シルク混のスーツはとても贅沢なスーツになります。

20%混程度なら上品なビジネス用スーツに、40$混程度ならパーティー用のスーツなどに活躍するかと思います。

モヘア(アンゴラ山羊)

モヘアは、「アンゴラヤギ」という種類のヤギから取れる毛です。滑らかで美しく、ヤギの毛特有の光沢感があります。

スーツで一般的に使用されるウール(羊の毛)よりも、クリンプと呼ばれる毛の縮れ(ちじれ)が弱いため、衣服内に保たれる空気が少なく、体温や汗などの湿気がすぐに放出されます。スーツ生地は、ウール100%(羊の毛100%)で作られることが多いですが、モヘアを加えることにより、通気性が増すので涼しく、夏人気の生地になります。モヘアの割合が多いほど、通気性に優れモヘアならではの光沢が強く出ます。

シワになりにくい素材ですが、摩耗などの耐久性が低く、ウールの割合が多い方が耐久性では優れます。また、雨にも弱く雨に打たれるとボコボコと波打ちます。

 

 アンゴラヤギは、2歳を過ぎると毛が太くなります。生後6ヶ月のアンゴラヤギの毛は「キッド・モヘア」と呼ばれ、より滑らかで、さらに高級とされています。

カシミア(カシミヤ山羊の産毛)

カシミヤはインド北部のカシミール地方に生息する山羊が由来。カシミヤ山羊から採れる素材です。(主な産地はモンゴル、中国です)

カシミヤは毛の中でも、特に内側に生えている繊維が細い産毛(うぶげ)を原料とし、ヤギの外側を覆う太くてごわごわした刺毛(しもう)はのぞかれます。気候の厳しい朝夜の温度差が大きい山岳地帯に生息する山羊の産毛からしか取れないため、その希少性から繊維の宝石とも呼ばれる超高級素材です。カシミアを使うことで軽量ながら暖かく、とても滑らかなで上品な質感の生地となります。

カシミヤの値段が高騰してからの一時期、カシミヤの混入率を偽装するのが巷で流行りました。。。また、ひとえにカシミヤと言っても高地で育てられた山羊以外の毛や、繊維の太い刺毛等が使われていることがあります。一般的なカシミヤの原毛の太さは14~16ミクロンです。品質の高い細く上質なカシミアはとても肌触りが良く、暖かで、非常に高価です。カシミアが巷で安い値段であふれるようになったのは、品質の低い原毛までカシミアと言ったり、カシミアの量を少なくしたしたからです。

カシミアの特徴は、軽く、保温性・保湿性に優れ、やわらかい手触りを持ちながら上品な光沢感と風合いを持ち、弾力性に優れて型崩れしにくいというものです。

デメリットはピリング(毛玉)発生しやすい(良いカシミアはピリングできにくいですが)、デリケートな素材の為お手入れが難しいというものです。

カシミヤ生地のメーカーとしては、高級生地素材を広く集めるロロピアアーナ社が有名です。特にロロピアーナ社のベビーカシミヤ(生後5~6カ月後の山羊から初めて取られる産毛)から作られるコートやセーターはヨーロッパブランド勢の猛烈な値上げ攻勢の影響もあり20-40万近い値段となりますが、非常に評価が高いです。お金に余裕があったら、一度は手に入れてみたいですね。

リネン(麻) 

リネンは日本では麻と呼び、主に植物の亜麻等を原料に作られた繊維です。夏用の衣服素材であり、シワ感を出す生地を作ることによってラグジュアリー感のある贅沢なジャケット、サマースーツを仕立てるのに最適です。

リネンの割合が多いとシワ感が出るので、ビジネス用途には向かない場合が多いです。また、ワンシーズン着ると膝が抜けてしまいボコッと出てしまうことが多いです。通常スーツはシワを極力抑えることが大切ですが、麻のスーツを着る場合はシワ感を楽しむスーツとなります。リネンのシワというものは細かく、綺麗で、よりカジュアルな装いを演出します。季節感を楽しむのにうってつけの素材です。

 麻の機能としては、硬くしっかりとした手触りと、毛ばたちの少なさからくる光沢、そして肌ざわりの良さがあります。引っ張られる強度が強いということもありますが、同時にストレッチ性がないので、フィッティングはウールや綿を使用する時に比べ、ゆとりを若干多くとるよう調節します。 

超高級スーツ生地素材

ビキューナ(ビクーニャ)(Vicugna)

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ビキューナ(vicugna)は、アルパカ、ラマ(リャマ)、グアナコの近縁の動物です。伝統的には、ビキューナとアルパカをビクーニャ属に、ラマとグアナコをラマ属にまとめられるそうです。

ビキューナはとても希少で、その毛は最も細い繊維の一つです。毛の太さは10ミクロンほど。2年に一度しか毛の刈り込みは許可されておらず、1回の刈り込みで成獣1頭につき250 - 350gの体毛しか得られません。

 

かつては200万頭が生息していたと推定されるが、肉と良質な体毛を得るために乱獲され、インカ帝国同様に情け容赦ない侵略者の犠牲になり、1960年代には1万頭以下まで生息数を減らしていた。しかし、1993年には、インカ帝国時代に行われていた伝統技法でビクーニャを殺さずに体毛を刈るための囲い込み(チャク)が復活し、地元民にその収益が保証されるとあって、ビクーニャに対する保護意識が高まった。その甲斐あって、2010年には40万頭を超えるまでに生息数が回復している。

 

ビキューナ製品は超高級ブランド化しており日本で買う飛んでもなく高いです。ただ、アメリカとかではビキューナのマフラーは1000ドルくらいが相場だそうです。通販だと600ドルくらいでしょうか。Incalpaca TPX(ペルー最大のアパレル企業)などが南米だと有名です。

キヴィアック(Qiviuk)

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キヴィアックはジャコウ牛(Muskox)外毛の下にある産毛を集めたもので、原毛の太さは、16.5-18.2ミクロン程度。その希少性の高さから、ビキューナに並ぶ超高級原毛として取引されております。繊維はカシミアよりも細く、なめらかで、光沢があるのが特徴です。

ジャコウウシは極寒地域(カナダおよびグリーンランドの北部・東部といった北米地域)に多く生息しています。地球上でもっとも寒かった氷河期の時代から現代まで生き残った一番大きな草食動物です。非常に臆病な動物であるジャコウウシは、家畜化することができず、野生動物から毛を調達。木や岩などに体をこすりつけるという習性を持ち、主に落ちている毛を採取して、製品化を行っているるそうです。

 

キヴィアックは今までほとんど生産されたことがないです。世界的生産量は年間5~8トン。(カシミアの3000分の1)加 カナダ政府によって年間の捕獲量が制限されて、グリーンランドで伝統的に行われる狩猟に委ねられている部分も大きく、猟は厳しく管理され、自然の生態系安定を尊重しています。

パシュミナ(Pashmina) 

カシミアの一種です。 4000メートル級の高地に生息しているヒマラヤ山羊の冬の間だけ生える「首から胸の毛の柔毛」だけを集めて織った生地を特に指すそうです。

高知の山羊は厳しい冬の寒さを防ぐために、冬の間だけ、極細でとびっきり暖かな、ふわふわの毛が首の下部に生えてきます。そして暖かくなると、山羊たちは岩に体をこすりつけて、やわらかな毛を落とします。昔はその毛を拾い集めて、最高の肌ざわりのパシュミナショールを作っていたそうです。(※今は落ちた毛だけではないそうです)

パシュミナは、肌触りがよく、原毛が美しく発色が良い上に、独特の光沢と、ぬめりがあり、軽くて大変暖かく、ネパールやインドで伝統的にストールの素材として使われてきました。その際、パシュミナは繊維が細すぎるため、基本的には手で織らず機械で織られてきており、シルクとパシュミナを合わせてシルクパシュミナとして織られることが多いそうです。

キルギス/キルギスウール(KIRGYZ)

キルギスウールはキルギス共和国のの標高3500mの天山山脈の牧草地で暮らすヤギが原産です。この繊維は最高級のカシミアと同じ細さ、パシュミナと同じ柔らかさ、シルクと同じ光沢に輝くと評価されているそうです。ドーメル社(Dormeuil)などがキルギスウールを混合した生地を生産しております。

ウール以外のスーツ生地素材(化学繊維)

スーツに使われる化学繊維には、合成・再生繊維などがあります。

合成繊維は主に石油などを原料にした化学繊維、再生繊維は天然素材は化学反応を用いて一度溶かして繊維に再生したものを指します。

ポリエステル(合成繊維)

石油を原料とする最もポピュラーな合成繊維です。様々なスーツに使われる、コスパに優れる化学繊維です。

欠点は、静電気がたまりやすい、ぷつぷつした毛玉ができる、安っぽい、深いシワクチャなシワができると取れない。また、吸水性が無いので、肌にぴったりと張り付きます。

利点は、シワニなりにくい(深いシワは別)、軽い、速乾性が高い、安い

 

安くチープな素材という印象ですが、ポリエステルをうまく織り込むことでその欠点を抑えつつパフォーマンスの優れる生地が作成されており、良いポリエステル混生地は高級な夏用のスーツ生地として人気です。例えば御幸毛織のシャリックなどは特に夏用の生地として人気で、質感はウール地でありながら軽く、耐久性も高く、通気性もとても高いです。生地の価格を落とすためにポリエステルを使うのではなく、ポリエステルの中心にウールを巻き付けるようにして生地を作っているそうです。

また、生地の質感がシャープになるので、生地の柄や模様を際立たせるためにも使う場合があります。

ポリウレタン(合成繊維)

伸縮性の高いプラスチックの一種である化学繊維。スーツに高いストレッチ性を持たせるのに活躍します。

利点は、非常に伸縮性が高い、生地のコーティングが可能、安いというところ。短所は加水分解するため3~4年で寿命が来てしまうところです。

スーツですが倉庫作業などの必要がある場合、ストレッチ性のあるスーツ素材はとても助かります。低価格でストレッチ性を実現するスーツに広くポリウレタン素材が使われています。

ウール100%でもストレッチ性のあるスーツもありますが、大抵は高機能性高級生地として位置づけられており、10万円長のスーツラインとなる場合がほとんどです。

作業用のスーツとして割り切るのでしたら、ポリウレタン昆のスーツは良いかもしれません。

Lycra(ライクラ)/Spandex(スパンデックス)(合成繊維)

こちらもポリウレタンの事です。特にスパンデックス(Spandex)はポリウレタン弾性繊維の一般名称として使われます。デュポン社が1959年に開発、「Lycra(ライクラ)」の商標名で発売したため、ポリウレタン繊維混合生地をLycra1%等と表記することが多いようです。

ナイロン(合成繊維)

石油・石炭を原料とする丈夫な化学繊維。ポリエステルに似た特徴を持ちます。鞄素材として広く使われます。カジュアルなスーツ素材として使われることがあります

特徴はポリエステルに似ています。丈夫で伸縮性に富み、軽い化学繊維の生地です。摩擦や折り曲げに強いこと、シワになりにくいこと、乾きが早いこともメリット。反面、静電気が起きやすく、熱に弱く、吸水性が低く、日光で黄ばむこともあります。

ポリエステルと大きな違いは強度がとても高く伸縮性がある一方で、熱に弱い事でしょうか。日光に弱いので陰干しが必要な点も特徴です。

スーツの生地としては丈夫さやストレッチ性を生かしてウールとの混紡などで使われます。

キュプラ(再生繊維)

キュプラはコットンリッター(綿花を取った後綿花表面に生えている2~6mmの繊維のこと)を原料として作られる再生繊維です。中程度以上の価格帯のスーツの裏地として使われます

元は綿ということもあり、キュプラは吸湿性、放湿性がある、合繊維ながら静電気が起きにくい利点があります。また、やわらかくしなやかで、ドレープ性があります。

しかし、摩耗などの耐久性が低く毛羽立ちやすい特徴があります。水にも弱いので、クリーニングが難しくなります。

ジャケットなどの裏地をキュプラにした場合、裏地のほうが先にダメになる場合が多いです。その場合は裏地だけ張り替えてもらいましょう。

パンツ生地の裏地などは特に摩耗の負担が多いので、キュプラは避けたほうが無難に思います。

 

カジュアル感のある生地素材・ジャケットコート向け生地素材

コットン(綿)

シャツ・デニム・チノパンなどに主に使われますが、イタリアを中心にスーツにも使われますが、コットンのスーツはカジュアルなスタイルとなります

コットン(綿)は綿植物の身が熟して中から出てくる白い種子毛、これを「綿花」と言います。コットンはこの綿花を摘み取り、機械で繊維と種子を分離して作られます。加工・染色がしやすく、コストも低く、選択などもしやすいので広くカジュアルな衣料に使われています。

ストレッチ性が小さいことや、洗うと縮む、シワになるなどの欠点もある中、衣料用の全繊維の40%はコットンが使われています。加工・染色のしやすさ、吸水性、コストの安さなどのたくさんの利点があり、短所は織り方や加工・化学繊維などの混用で抑えることができる万能的な素材です。

メルトン

暖かさが特徴の定番の生地です。コートの記事に使われる厚手のフェルト上の生地です。「メルトン」も紡毛糸を使用しますが、太く柔らかい紡毛糸を使用することが特徴で、通常「フランネル」より厚くなります。

メルトン加工
フランネル」などと同様に縮充をした後、布面のケバを短く刈取り,ブラシかけをするメルトン加工をします。

これにより、「メルトン」特有の表面がケバでおおわれたように見える風合いがでます。保温性がとても高いので主にコートの生地などに使用される高級素材になります。

ツイード

厚手で丈夫なざっくりとした風合いのツイード秋冬のカジュアルなジャケットスタイルなどの時に多用されます。

スコットランドにて羊毛を手でねじり糸にして手織りされていた「ホームスパン」というものが原型で、これをツイード川流域で作られたことがこの生地の始まりです。

縮充の工程はなく、起毛もさせません。織られる前に糸を様々な色に染め上げるのが、ツイード特有の色合いを作ります。


防寒性の高さや、シワになりにくい長持ちのするツイードで仕立てられるジャケットは、元々漁師さんがきていた程です。固くしっかりとしており、良いものはメンテナンスしながらエイジングを楽しみ、孫に受け継いでいくことができるものもあります。 

シアサッカー

生地表面のでこぼこが特徴のシアサッカー。コットンを使用した「シアサッカー」は、織り方による加工で、生地の表面にでこぼことしたシボを作ります。しじら織りとも呼びます。

そのでこぼこによって、さらに通気性をよくし、肌に触れる面積が少なくなるので肌に張り付かず、すっきり着用できます。

そのため、シアサッカーは、スーツやジャケットを仕立てる代表的な夏の生地ですが、

生地にでこぼこ感ができるため、カジュアル色が強い生地となります。 

生地のブランド系統について

ミル/ミル系

ミルと言うのは織元をさし、ミル系の生地ブランドは自前で工場を持ち生地を織っているいるブランドを指します。仕入れから生地の生産まで一貫しており、伝統的な技法の生地から、最新の技術を駆使した生地を多く世に出します。織りの速度や手順を変えて風合いをやらわくしたり、糸から加工を施しストレッチ性・空冷機能や保温機能生地などウール生地に機能性を持たせる卓越した技術を持ている会社が多くあります。

また、間に生地商社を挟まないため、生地の品質に比べて価格を抑えやすい傾向があるように思います。

マーチャント/マーチャント系

マーチャント毛織・繊維商社のことで、基本的には自社で工場を持たないスタイルの生地屋さんです。ただ大手になると自社で一定の工場を持つことが多いです。その場合、

1)各所から仕入れた材料を織元に依頼して生地にしてもらう。

2)生地の企画をマーチャント側で行い、材料や生地を織元に任せて作成する

3)生地の仕入れから作成まで一貫して自社で行う

など様々な方法で生地を折るため、生地の種類が非常に豊富になりやすく、また、特殊な生地素材を世界中から集めるために珍しい記事を数多く取り揃えています。

企画力がある場合が多く、色やラインナップ等に関しては流行に敏感です。

 

以上、スーツに使う生地や素材の用語でした。

少しづつ書き足し・修正していきます。